アメリカ国民の多くは他国のために戦争をしたくない

Responsible Statecraft の記事に「他国のために死ぬような軍隊を派遣する意思のあるアメリカ人は減少している」という記事を見つけた。

以下に全文翻訳する。

概要
最近の防衛優先事項に関する世論調査は、他の調査と合わせて、明るい見通しを示している。

AARON SOBCZAK
AUG 21, 2024

本文
2024年7月の世論調査では、米国民の大多数が台湾やウクライナの防衛に米軍を派遣することを支持しておらず、この感情はこれらの白熱した問題に関する最近の他の調査結果と一致しており、米国人が国際問題における自制と不介入主義に好意的になりつつあることを示唆している。

実際、シカゴ国際問題評議会が2月に実施した別の世論調査では、米国人の過半数(56%)が、米国はイスラエルのガザ戦争でどちらかの側につくべきではないと考えていることがわかった。また、同評議会が今月実施したより最近の調査では、近隣諸国から攻撃された場合に米国がイスラエルを守るために軍隊を派遣することを支持する人は10人中わずか4人だった。

同様に、最近のユーガブ(YouGov)の世論調査では、アメリカ人が外国の介入に疑念を抱いていることが明らかになった。世論調査では、79%が、アメリカが直接脅かされた場合にのみ介入を支持すると答えた(同盟国が攻撃された場合、その数字は49%に大幅に低下した)。同じ調査で、アメリカ人の大多数が正当だと考えた最近の戦争は第二次世界大戦だけだった。

これらの調査結果にもかかわらず、ワシントンは、ウクライナとガザでの和平交渉に遅れをとったり、中国との対立を煽ったり、あるいはペンタゴン、ひいては兵器産業に不必要に莫大な金額を投じたりして、世界中で戦争の火に油を注ぎ込み続けている。

「(私たちの)世論調査データから一貫して言えるのは、米国の公式外交政策と米国民が好む政策の間に乖離があるということだ」と、7月の調査を実施したディフェンス・プライオリティーズの広報担当タッカー・カス氏は述べた。「ワシントンから出される政策は介入主義的だが、少なくとも私たちが受け取った回答に基づくと、米国民は、率直に言って現在の政策よりも賢明な、より思慮深く、より洞察力のある政策を支持している」

国防優先事項に関する世論調査では、調査対象者のわずか22%が米国によるウクライナ防衛を支持していることも判明した。46%が反対し、32%が中立だった。30%が米国による台湾の中国に対する軍事防衛を支持すると答えたが、37%が反対し、33%が中立だった。さらに、調査対象者の過半数、44%が、中国との戦争回避が台湾の自治よりも重要だと同意した。

一方、米国民はウクライナへの米国の軍事援助を支持する可能性がますます低くなっている。シカゴ評議会の2022年の調査では、米国民の79%がキエフへの軍事援助を支持したが、同評議会の2023年9月の世論調査ではその数字は63%に低下した。ディフェンス・プライオリティーズの7月の調査では、ウクライナへの無条件支援の継続を支持する米国民はわずか20%だった。

他の世論調査では、米国民は中国の攻撃から台湾を軍事的に防衛することに反対していることが判明した。ディフェンス・プライオリティーズの指標に加え、シカゴ評議会が2023年11月に実施した調査では、台湾防衛を支持する人はわずか39%で、2024年には43%に上昇することが判明した。

イスラエルを軍事的に防衛することに対する米国人の支持も下降傾向にある。シカゴ国際問題評議会によると、イスラエル防衛のために米軍を使うことに対する支持は2015年から2021年まで50%強で推移していたが、2024年には41%に低下した。

アメリカ国民は、世界情勢への米軍の関与全般に疑問を抱いているようだ。ドイツ、トルコ、ポーランド、バルト諸国、日本、韓国、オーストラリアの米軍基地に対する支持は、2022年から2023年にかけて全体的に低下した。

こうした明らかな傾向にもかかわらず、注意すべき点もいくつかある。7月の国防優先事項に関する世論調査で見られるように、米国人は米国の外交政策をあまり追っていないため、関連する世論調査の質問に対して中立的または「わからない」と回答する割合が高い。世論調査は大きく異なる可能性もある。たとえば、米国による台湾防衛を支持する意見もいくつかあり、グローバル台湾研究所の調査では、2022年時点で61%が支持している。

さらに、国民は出来事やメディア主導の強力な物語に影響されることもある。たとえば、9月11日の攻撃の後、メディアはサダム フセインを追放するという考えを一般化するのに一役買った。2002年1月までに、米国国民の73%がイラクでの武力行使を支持し、国内の大量破壊兵器の存在に関するブッシュ政権の発言を信じていた。2024年の調査によると、長年の政策の失敗と後知恵の結果、イラク戦争が正しい選択だったと考える米国人はわずか32%だった。

今日のアメリカ人は、ソーシャルメディアや非主流メディアで別の意見を見ることができるようになり、ワシントンの公式見解に対する懐疑心が高まっているのかもしれない。「大統領やその他の介入主義者は、道徳的説教や脅しによって軍事冒険主義に対する国民の短期的な支持を得ることが多い」と、ケイトー研究所の上級研究員ダグ・バンドウ氏はResponsible Statecraftに語った。「しかし、こうした戦術の効果が薄れ始めると、そしてアメリカ人が遺体袋で帰国し始めると、国民の熱意は衰えるのが普通だ。その結果、アフガニスタン、イラクなどの戦争に対する国民の嫌悪感は最終的に高まる」

アーロン・ソブチャク
アーロンは Responsible Statecraft の記者であり、ミーゼス研究所の寄稿者でもあります。リバティー大学で国際関係学の学士号と修士号を取得しました。

Fewer Americans willing to send troops to die for other countries Responsible Statecraft AUG 21, 2024

この記事からわかるのは、戦争をしたいと考えるのはエスタブリッシュメントばかりだろうということ。ここからいろんなことが考えられる。

1.もし米国が戦争をしようとするなら、真珠湾や911のような、トリガーになる事件が必要であるということで、それをさせないためには紛争や騒乱を極力避ける必要があるだろう。様々な誘導作戦には乗らないことが大切だと思う。

だからと言って状況的にあまりにもひどいときにはどうすればいいかといえば、正しい情報を得て、適切に行動しなければならない。そのための報道体制などが必要とされるだろう。日本のように紛争地にジャーナリストが行けないのは、この点で問題だと思う。

2.日米安保体制はこのままで良いのか心配である。平等なやり取りができない場合、最初に犠牲になるのは自衛隊であり、一般国民であろう。戦争に向かうプロパガンダを流す人々は戦場には行かない。

モスクワに過去最大のドローン攻撃

モスクワ市長は21日、ウクライナがモスクワに「史上最大規模」のドローン攻撃を仕掛けたとして非難した。

CNNによれば、ロシア南西部クルスク州に対して越境攻撃を仕掛け、同州のセイム川に架かる主要な橋を破壊している。

クルスク州のセイム川に架かる橋の少なくとも二つが先週、使用できなくなり、衛星画像によると、ロシアはその後、セイム川に少なくとも三つの浮桟橋を建設した。

ロシア当局は21日、自国の防空システムが前日の夜からウクライナのドローン45機を破壊したと主張した。そのうち11機はモスクワ上空、2機はロシア西部のウクライナ国境沿いに位置するベルゴロド州、2機はクルスク州で破壊された。

モスクワのソビャニン市長は同日、テレグラムで「この試みはモスクワに対するこれまでで最大規模のドローン攻撃だ」と非難した。

ロイター通信はソビャニン氏の発言を引用し、ドローンの一部はロシア大統領府の南約38キロにあるポドリスク市上空で破壊されたと伝えた。

モスクワ市長が「史上最大規模」のドローン攻撃を非難 ウ軍はロシアの93集落制圧 CNN 2024.08.21 Wed posted at 19:01 JST

ロイターではほぼ同じ内容を伝えているが、ドローンの機数は同じだが、撃墜した場所と機数に若干の違いがある。

 ロシアの防空部隊は21日、モスクワなどロシア各地でウクライナから飛来したドローン(無人機)45機を同日未明に撃墜したと発表した。

うち11機はモスクワ州上空で撃墜。23機は南西部ブリャンスク州、6機は南西部ベルゴロド州、3機は西部カルーガ州、2機は西部クルスク州の上空で撃墜した。

ロシア、無人機45機撃墜 モスクワ市長「過去最大級」 2都市で空域制限 ロイター 2024年8月22日午前 12:46 GMT+9

セマフォーというニュースサイトは、この記事を伝える前提として、ロイター、アルジャジーラ、ワシントンポストの記事をまとめて、このように伝えている。

ロシアは、米国主導のNATO同盟がキエフの計画を支援したと主張している。ロイター通信によると、プーチン大統領の側近であるセルゲイ・チェメゾフ氏は、欧米がウクライナを「挑発」し続け、ロシア領を攻撃するよう仕向ければ世界戦争になると警告し、ロシア安全保障会議の副議長は水曜日のテレグラムへの投稿で、「敵が完全に敗北するまで」交渉は行わないと誓った。両国は今月、エネルギーおよび電力インフラ攻撃に関する交渉のためドーハに代表団を派遣する予定だったが、ウクライナがクルスクへの反撃を開始したため、ロシアはカタールの仲介者との会談を延期したと当局者はワシントンポストに語った。

Ukraine launches largest ever drone strikes on Moscow SEMAFOR Updated Aug 21, 2024, 8:59pm GMT+9

これは何の兆候なのか?報道しない報道機関

自由民主党の参議院議員青山繁晴氏が嘆いています。

「誰よりも早く総裁選に出るよと発表したのに、どこの報道機関も報道しない。なぜ?」と。しかも担当の記者もいるのに報道されない。おかげで他の議員から「総裁戦出るのなぜやめたの?」と聞かれるという。

トランプ元大統領は「fake news」と言ったが、青山氏はこのような情報操作を「disguised information」と呼ぶそうだ。

青山氏はかつて共同通信の記者だったが、その立場でも「報道のおしまい」が来ているという。

_______________24/8/23追記

なぜ青山繁晴氏が総裁選に立候補すると発言しているのに、マスメディアが取り上げないのか。その理由のようなことがこの六月頭のYouTubeの発言にあるのかもしれません。

もし本当にそうだとすると、自民党は陰湿ですね。そして、そのような政権が政治をしている限り、一般社会でいじめ問題が噴出するのも無理はないと思いますし、それに従っているマスコミも酷いと言わざるを得ない。

この状況でこの記事を読むと、みなさんどう思いますか?

ネット上の偽情報に厳格対応要請 自民提言、発信国の表示を 共同通信 2024/8/22

__________________24/8/26追記

8月23日の記者会見を受けて、さすがにNHKや新聞では青山氏の総裁選立候補を伝えていた。

青山参議院議員 自民総裁選に立候補したいという意向示す NHK 2024年8月23日 18時36分

青山繁晴氏、総裁選に出馬意欲 消費税減税を公約に 日本経済新聞 2024年8月23日 17:21

自民・青山繁晴氏が総裁選に改めて出馬表明 「別な選択肢あると説明したい」 産経新聞 2024/8/23 18:34

【速報】青山繁晴議員 総裁選を視野に消費税の減税を主張 推薦人20人のめど立たず懸命の訴え FNNプライムオンライン 2024年8月23日午後5:58

青山繁晴参院議員が自民党総裁選への出馬目指す考え表明 消費減税訴え「別の選択肢がある」 TBS NEWS DIG 2024年8月23日19:36

確かに各社伝えてはいるが、青山氏の記者会見の大切な部分が伝えられていないように感じる。以下のABEMA Times の原稿は短いけど、大切な部分が述べられている。

総裁選、自民党・青山繁晴参院議員が出馬表明「“別の選択肢”があることを説明したい」 ABEMA Times 2024/8/23 18:24

テレビ局のニュースでは伝えられたようだが、8月26日の羽鳥慎一モーニングショーやミヤネ屋には自民党総裁選の話はあったが、青山氏の名前は出てこなかった。

記者会見の映像。

若狭勝氏の意見。【自民総裁選】古き悪しき慣習打破して青山参議院議員を

自民党は総裁選で脱皮できるか

総裁続投を諦めた岸田首相に代わって、誰を総裁にするのかを決める自民党総裁選が9月12日に告示され、27日に投票されることになった。

総裁選に出馬するだろうと目されている人たちは、11人いると大手マスメディアでは言われている。その11人は以下の人たち。

候補者または候補者になると思われている人サイトURL
石破 茂 元幹事長https://www.ishiba.com
加藤 勝信 元官房長官https://katokatsunobu.net
上川 陽子 外相http://www.kamikawayoko.net
小泉 進次郎 氏https://shinjiro.info
河野 太郎 デジタル相https://www.taro.org
小林 鷹之 氏https://kobayashi-takayuki.jp
齋藤 健 経済産業相https://saito-ken.jp
高市 早苗 経済安保相https://www.sanae.gr.jp
野田 聖子 氏https://www.noda-seiko.gr.jp
林 芳正 官房長官https://www.yoshimasa.com
茂木 敏充 幹事長https://motegi.gr.jp

8月14日におこなわれた退陣記者会見ノーカット版(時事通信社による)はこちら。

この演説で岸田首相は「今回の総裁選挙では自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要です。そのためには透明で開かれた選挙、そして何よりも自由闊達な論戦が重要です。その際、自民党が変わることを示す、最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引く事であります。私は来たる総裁選には出馬致しません」と述べていますが、どんな「新生自民党」が現れてくるのか楽しみです。

石破 茂 元幹事長が今まで、自民党員には人気があったのになぜ自民議員たちには人気がなかったのかというと、私見ですが、本当のことを言うひとだったからのように思われます。

傀儡政府の中では傀儡らしく、上のいうことを聞いているのがいいのでしょうきっと。もし本当に傀儡から自民党が脱するのであれば、これほどめでたいことはありません。岸田首相もやめる甲斐があるでしょう。

しかし、自民党の参議院議員、青山繁晴氏は、今回の総裁選も真の主役は長老たちだと言っています。なぜそのように言えるのか。

1.若手が前面に出ているように思えるが、実際には長老の許可なしには出ていない。

2.(青山氏が総裁選に出ようとしているので、推薦人になってくれと頼んだら)ボスにダメだと言われ、「お前は小泉進次郎の推薦人になれ」と言われたという人が、推薦人になるのを断ってきた。

3.麻生氏、菅氏が背後にいて、操られて出馬してくるように見えるのは、本人がひ弱だから。派閥に頼らず自分で推薦人を集め、お金も用意したらいい。長老がけしからんという問題ではなく、ご本人の生き方の問題。

4.自民党の総裁選に出るには(大臣とか副大臣とか政務官など)経験を問われるが、世界の基準から考えれば、そのような経験は役に立たない。にもかかわらず、その基準を守ろうとする。

さらに面白かった話は、「なぜ同じ派閥から候補が二人ずつ出ているのか?」。一般には派閥が解消したからだと思われるが、自民党内にいる人はやはり見えるものが違うようだ。

青山氏の発言の詳細は以下のYouTubeに。

自民党が本当に変わるのは、石破氏や青山氏のように、本当のことを、言い方は考えるにせよ遠慮せずに言える人が総裁になったときだろう。議会で質問への答えをはぐらかすような人が総裁になったら、今までの自民党の体質が温存されるだろう。

続いて、こちらの記事がお勧め。これは何の兆候なのか?報道しない報道機関