お米がスーパーから消えたけど、もっと心配なこと。

各地で米不足が心配されていると報じられている。実際に不足している地域はあるが、まだそれほど深刻なものではないようだ。

不足の大きな原因は、「南海トラフ地震」の注意報によって多くの人が普段より少し多めにお米を買ったからのよう。他にも昨年の不作なども理由の一端のようだ。

政府は余裕があると発表しているが、実際に売り場になくなっているのは事実。

多くの人が多めに買ったから不足したのであれば、しばらくすれば解消されるだろう。地方の米流通業者は、普段にはない発注を受けることが多くなったそうだ。普段取引してないところには出さないことで、今年のお米は通常通り販売できそうだという。

今朝のニュースショーでは「天候も以前のものとは違うので、それに合わせて新しい品種のものも食べてみてはいかがですか?」と提案がなされていた。まあ、確かにそうかもしれないが、新しい品種がなんでもいいとは言えないだろう。

NPO法人民間稲作研究所では、「コシヒカリ環1号」や「あきたこまちR」への反対声明を出している。理由は両者とも重イオンビーム育種による品種であるから。秋田県では2025年から、県産米の7割以上を占める「あきたこまち」を「コシヒカリ環1号」と「あきたこまちR」へ全量転換するするそうです。

民間稲作研究所がこれに反対する理由をサイトから引用します。

1.この重イオンビーム照射による放射線育種(突然変異育種)は実質、世界で日本だけでしか行われておらず、実績は乏しく、その安全性を実証する研究が行われていない。安全性の確証が得られていないことは、消費者の大きな不安となっている。

2.第1項の理由により、これまで有機米を選択してきた健康意識の高い消費者が、重イオンビーム育種米を選択するとは考えにくい。
農水省はこれまで、需要に応じた売れるコメづくりを推進してきたが、全面切り替えはこの方針に反するものであり、有機農業の拡がりを抑制しかねない。

3,OsNramp5遺伝子を改変することによって、稲のマンガン吸収能力が大幅に減じられる。改変後の品種は元の品種とは同等ではなく、その性格も似て非なるものとなり、収量も減ることが報告されている。今日の激変する環境変化に対応できるかどうか、その生育の不安が消えない。

4,農家には栽培する品種を決定する権利がある。全量転換はその権利を実質的に奪うものである。「コシヒカリ」や「あきたこまち」に認められていた自家採種も改変品種では許されておらず、その品種への全量転換は農家の権利を無視するものである。

5.このカドミウム低吸収性品種の栽培のためには特許許諾料と品種許諾料の2種類の許諾料が課される予定であり、種籾価格にそれが載せられ、農家が負担することになる。カドミウム汚染の責任は鉱山開発を進めた企業と国策としてそれを推進させた国にあり、その負担を農家に押しつけるのは筋違いであり、認められない。

6.重イオンビーム育種による品種は有機農産物としては認められない。

「コシヒカリ環1号」「あきたこまちR」など重イオンビームによる遺伝子改変品種への反対声明 NPO法人民間稲作研究所 2024/2/29

興味深いのは、「この重イオンビーム照射による放射線育種(突然変異育種)は実質、世界で日本だけでしか行われておらず、実績は乏しく、その安全性を実証する研究が行われていない」という点。レプリコンワクチンといい、このお米といい、日本人はモルモットにすればいいと政治家は考えているのでしょうか?

日本の食糧危機に備えるための「新しい資本主義」

去年の話で恐縮だが、大切な話なので取り上げる。

去年の10月31日、キャノングローバル戦略研究所が厚労省を批判している。その内容がこちら。

台湾有事が起きれば日本国民は半年で餓死する…「輸入途絶の危機」を無視する農林水産省はあまりに無責任だ

12月には農水省の有識者会議が報告書を発表した。それをNHKが取り上げたのが、以下のものである。

もし食料不足になったら? 対策の報告書まとまる 農水省

12月27日には官邸の農林水産業基盤強化本部から以下の論が提出された。

食料安全保障強化政策大綱 (改訂版)

これを読んでいくと、四つの章で構成されていることがわかる。

I 基本的な考え方
II 食料・農業・農村基本法の検証・見直しに向けた検討との関係
III 食料安全保障の強化のための重点対策
IV 新しい資本主義の下での農林水産政策の新たな展開に向けた主要施策

詳しくは官邸のpdfを読んで欲しいが、問題の解決の鍵は「新しい資本主義」にあるようだ。

そこで「新しい資本主義」とは何かを検索すると、政府広報オンラインのページが出てきた。

新しい資本主義の実現に向けて

そこにはこんなことが書かれている。

「新しい資本主義ってなに?」

経済再生の要は、「新しい資本主義」の実現です。

市場に依存し過ぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大。市場や競争の効率性を重視し過ぎたことによる、中長期的投資の不足、そして持続可能性の喪失。行き過ぎた集中によって生じた、都市と地方の格差。自然に負荷をかけ過ぎたことによって深刻化した、気候変動問題。分厚い中間層の衰退がもたらした、健全な民主主義の危機。

世界でこうした問題への危機感が高まっていることを背景に、市場に任せれば全てが上手くいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、様々な弊害を乗り越え、持続可能な経済社会の実現に向けた、歴史的スケールでの「経済社会変革」の動きが始まっています。

成長と分配の好循環による「新しい資本主義」によって、官と民が全体像を共有し、協働することで、国民一人ひとりが豊かで、生き生きと暮らせる社会を作っていきます。

様々な弊害を是正する仕組みを、「成長戦略」と「分配戦略」の両面から、資本主義の中に埋め込み、資本主義がもたらす便益を最大化していきます。

政府広報オンラインに表示されている図

成長戦略では、「デジタル」「気候変動」「経済安全保障」「科学技術・イノベーション」などの社会課題の解決を図るとともに、これまで、日本の弱みとされてきた分野に、官民の投資をあつめ、成長のエンジンへと転換していきます。

分配や格差の問題にも正面から向き合い、次の成長につなげます。こうして、成長と分配の両面から経済を動かし、好循環を生み出すことで、持続可能な経済を作り上げます。

政府広報オンライン

これからの政府の動向の中心となるのは「新しい資本主義」なのかもしれない。しかし、人口減少に打ち勝って、どのように成長していくのか? 「新しい資本主義」でどのようなビジョンを描くのか、注目する必要がありそうだ。二極化が加速し、中間層がさらに失われ、貧困層が増大しないように。そして、机上の空論で終わらないように。

決まってないことを報道するのはなぜか? 小林製薬

小林製薬が揺れている。

7/22、マスメディア各社が小林製薬の会長と社長の辞任を報じた。ところが、小林製薬のサイトでは、このように訴えている。

2024年7月22日 発表
2024年7月23日 内容一部更新

昨日、一部報道機関において当社の役員人事に関する報道がなされましたが、これは当社が発表したものではございません。
なお、当社の役員人事については、事実検証委員会の調査報告内容を踏まえ、本日の取締役会にて審議予定です。決議されましたら、速やかに公表いたします。

小林製薬サイト

ということは、ご本人たちの意思ではなく、会社組織からの発表でもない情報がどこかから漏れたということ。しかも、その確認をマスメディア各社は取ったはずだが、いったいどういうことだろうか? しかも次の社長まで公表されている。

__________24/7/23追記

22日にマスメディアで発表された通りの人事が臨時取締役会にて決定、発表されました。

以下のPDFが小林製薬のサイトにて配布されています。

事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について

代表取締役の異動及び役員報酬の一部自主返上に関するお知らせ