なぜ中国の人が日本の土地を買えるという間違った認識を岸田首相がしているのか

2024年2月に衆院予算委員会で、外国人による国内の土地買収に関する法規制を求める質問に対し、岸田首相は「国際法上の内外無差別の原則に照らして慎重であるべき」と答えたが、それは間違いであることを青山繁晴氏が指摘した。

実際には官庁からのレクチャーに事実誤認があり、それを真に受けたものだという。

イギリスもカナダも、民主主義国家が外国人の土地買収を規制しているところはたくさんある。

では、なぜ岸田首相はそのような間違った答弁をしてしまうのか。

日本には大正14年に外国人土地法という法律が制定され、その法律は今でも有効だという。
その法律によれば、ある国において日本人がその土地を買えないのであれば、その国の人は日本の土地を買えないと定めてあるそうだ。つまり平等の原則をきちんと守っている。日本人は中国の土地を買えないので、(中国の土地はすべて国有だから) 中国人は日本の土地を買えないはずだという。

なぜこのような間違いが起きるのか。青山氏は官庁からのレクチャーを鵜呑みにすることで起きる間違いだと指摘している。

以下のYouTubeで青山繁晴氏の主張が聞ける。

総務省検討会が fact check を歪める?

「ファクトチェック」とは、社会に広がっている情報・ニュースや言説が事実に基づいているかどうかを調べ、そのプロセスを記事化して、正確な情報を人々と共有する営みです。

「調査報道とファクトチェックで新しいジャーナリズムを創造します」と謳っている「In Fact」というメディアが8月11日に「InFact緊急声明 総務省検討会の方針について「官製ファクトチェック」の出現を危惧する」という記事を掲載しました。

内容を端的に説明すると、総務省の「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)」を読むと、「官製ファクトチェック」を出現させる恐れがあるのではないかと懸念を示しているのです。

ファクトチェックは、虚偽であったり、誤解を招いたり、重要な文脈を欠いたりするメッセージを訂正し、明確にするための証拠を提示し、追加情報を提供することを目指すものです。ファクトチェックは、こうしたメッセージを抹消したり消し去ったりすることを目的とするのではなく、公開討論の一環として、その討論に正確に情報を提供するために必要な証拠を提示しながら、それらを維持することを目的としているのです。ところが、総務省検討会が示した「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)」によれば、そのような指針とは異なり、ファクトチェックされる記事を「偽誤情報」と位置付け、ネットから抹消しようとしていたようです。

「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)」の内容が公開されてないので、正確なところはわかりませんが、「In Fact」ではこのように書いています。

このとりまとめ案は、政府のすべきこと、プラットフォーマーがすべきこと、ファクトチェックの担い手を一括して、且つ、「偽誤情報」という言葉によって極めて不明確な対象に対応しようとするもので、健全なファクトチェックの実施に悪影響を与えるのみならず日本の言論空間そのものに禍根を残す内容を含んでいるからです。

国際的なファクトチェック団体の集まりであるIFCNが規定している通り、ファクトチェックはジャーナリズムの一部です。ですから「ファクトチェック団体」を新聞、放送、通信といった「伝統的メディア」から切り離して議論をすることにそもそも問題があります。その上で指摘したいのは、仮に政府が「ファクトチェック団体」を支援する枠組みが作られてしまうと、それは世界で行われているファクトチェックとは異なる「官製ファクトチェック」の誕生に道を開くことにつながりかねません。もとより政府の発信そのものもファクトチェックの対象であり、仮に「官製ファクトチェック」がデジタル空間で「偽誤情報」をファクトチェックしたとしても、それは政府の代弁にしか過ぎず、ファクトチェックではありません。

InFact緊急声明 総務省検討会の方針について「官製ファクトチェック」の出現を危惧する In Fact 24/8/11

この問題は、「In Fact」からだけの指摘だけでは止まりませんでした。ファクトチェックを推進・普及するための任意団体である「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」からも、見解が示されています。

その記事によると、総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(以下検討会)の日頃のファクトチェックを推進・普及する努力などを認めた上で、このように続けています。

しかしながら、ファクトチェック組織の独立性や新協議体に関する記述が曖昧であり、政府主導のファクトチェック組織や新協議体の出現を許容しかねない内容になっていることを危惧します。他箇所の記述も含めて「表現の自由」を侵害する懸念が生じます。ファクトチェック組織(関連組織を含む)および新協議体は政府等の公的機関からの独立が必須であり、FIJはそのことの明記を強く要望します。

政府から独立した民産学主体の偽情報・誤情報対策の明記が必要 ―総務省検討会とりまとめ案に対するFIJの見解 FIJ 24/8/15

ざっと読むと、どうやら政府は、政府にとって都合の悪い文書や表現をネット上から削除したいようです。詳しく知りたい方は、原文にあたってください。詳細に書かれています。

母子家庭からこんなふうに脱したブラジル家族

ブラジルの日本語新聞「ブラジル日報」に面白い記事を見つけた。
見出しは「姉妹が一人の男性と共同結婚生活=新しい愛の形を選んではや5年」という記事。

簡単に書くと、ある農夫が姉妹二人を妻に娶って幸せに暮らしているという話。

ブラジルも一夫一婦制なので、一人の男と二人の女性がポリアモリー(合意に基づいて複数の人と同時に関係を結ぶ恋愛スタイル)でいることが珍しく、話題を呼んでいるとのこと。

なぜそのような関係になったのかは、複雑な過程を経ているようだ。リンクから記事を読んでいくと、「なんでそんな関係になったのか?」はわかりにくいが、最後の文章にヒントがありそうだ。

農業に従事する彼らにとって、家事を分担できることや、不測の事態に対応してくれる誰かがいることは大きな利点だ。彼ら3人の他に、デイカさんの連れ子が2人、マルセロさんの連れ子1人、そしてアナンダさんとマルセロさんの息子が1人の合計7人家族だ。

ブラジル日報

つまり、記事全体を読んで理解できる関係構築はこうだ。

まず、マルセロさんが最初の結婚をし、子供を1人作るが、離婚してしまう。

その結婚の前か後かは判然としないが、マルセロさんは姉のディカさんと付き合う。

でも二人は別れ、ディカさんは別の男性と結婚し、子供が二人できるが、のちに離婚してしまう。

妹のアナンダさんとマルセロさんが付き合い始め、あるときマルセロさんがアナンダさんの家に行くと、ディカさんが姉だったことに気づく。

ここまで話を聞くと、かつてのドロドロ関係のトレンディドラマを思い出すが、アナンダさんとマルセロさんはめでたく結婚し、一人の子供を授かった。前後関係は不明だが、マルセロさんはアナンダさんに、かつてディカさんと恋愛関係にあったことを打ち明けたという。

ある日アナンダさんはマルセロさんに聞いた。

「男としての最大の願いは何か」

それに対してマルセロさんの返答は「第二夫人を持つこと」だったそうだ。

それで、妻のアナンダさんは非一夫一婦制への道を歩むことを決意したという。それまで9年間一夫一婦制の夫婦だったのに、2019年に姉のディカさんに夫婦関係に加わらないかと尋ねたという。

話し合いの末、三角関係の夫婦が出来上がったそうだ。

筆者の勝手な想像だが、ディカさんは母子家庭で苦労していたのではないかと思う。優しいマルセロさんは義理の姉の窮状をどうにかしたいと思いつつ、アナンダさんの手前あまり積極的には助けられなかった。それを察したアナンダさんが「男としての最大の願いは何か」と質問したのではないか? これは筆者の勝手な想像だから事実ではないかもしれないし、もっと別の経緯かもしれないが、このようなことを考えてふと思ったことがある。

昔の日本の大家族だ。

人間関係は複雑になって面倒だが、母子家庭が母と子供だけでやっていくのはいろんな点で難しい。母がきちんと稼いでいても、子供の面倒はなかなか十全には見れないであろう。そんなとき、兄弟夫婦ともし一緒に住まわせてもらえたら、どんなに楽になるだろうか?
子供にとっても、孤独な時間が長いよりは、義理の兄弟と遊べて楽しいのではないか? そんなことを考えた。三角関係の夫婦になるまでもなく、一緒に住んでいれば互いに助け合うことができていいのではないか? 

でも、姉妹のあいだに嫉妬心が芽生えると、面倒なことになるだろう。それを、マルセロ、アナンダ、ディカの夫婦は、「非一夫一婦制の夫婦になる」と決めたことで乗り越えてしまった。三角関係を保つコツは、元記事を読んでください。

新しい家族形態がブラジルで注目されているというのは頷ける。

ニュースの齟齬について

ロイターが以下のニュースを伝えた。

キーウ小児病院にミサイル、全土で41人死亡 ロシアが大規模攻撃

一方でRTでは、以下のように伝えている。

ロシアの国連大使、ウクライナ病院襲撃疑惑に反応

RTの英文を翻訳すると以下のとおり。

もしロシアのミサイルが実際にクリニックを攻撃したら、瓦礫しか残らないだろうとヴァシリー・ネベンジャは国連安全保障理事会に語った。

ロシアの国連常駐代表、ワシリー・ネベンジャ氏は、ウクライナ軍が小児病院を防空ミサイルで攻撃したと非難し、ロシアのミサイルが建物に命中していたら「何も残らなかっただろう」と断言した。

火曜日の国連安全保障理事会での演説で、キエフのオフマトディト小児病院の院長、ウラジミール・ゾヴニル博士は、ロシアが月曜日に同病院を故意に攻撃したと非難した。ゾヴニル博士は、爆発で2人が死亡、数十人が負傷したと主張し、この事件は「単なる戦争犯罪ではなく、人道の限界をはるかに超えたものだ」と述べた。

「もしロシアのミサイルだったら、建物は何も残らなかっただろうということをゾヴニル氏は理解しているだろうか」とネベンジャ氏は答えた。「子供も大人も負傷するどころか、死んでいただろう」

ネベンジャ氏は、ロシア軍が月曜日にキエフのアルテモフミサイル工場を標的にし、「この標的は攻撃された」と説明した。

「工場は小児病院から約2km離れているため、ウクライナの防空ミサイルが工場を攻撃したのはロシアのミサイルを狙ったものだと信じるに足る理由がある」と述べ、「ウクライナ軍が住宅地に防空システムを展開していなければ、この悲劇は避けられたはずだ」と付け加えた。

ロシア国防省も病院への攻撃を明確に否定している。同省は月曜日の公式声明で、「キエフからの写真とビデオ映像は、病院が市内の対空ミサイルシステムから発射されたウクライナの防空ミサイルの落下によって攻撃されたことを明らかに裏付けている」と述べた。

アルテモフ工場への攻撃は、月曜日に行われたウクライナの軍事産業施設と航空基地への大規模攻撃の一部である。同省は、この攻撃はロシアのエネルギーと経済インフラに損害を与えようとするウクライナの継続的な試みへの報復として命じられたと述べた。

キエフ寄りのメディアは、病院を襲った兵器はロシアの空中発射型Kh-101巡航ミサイルだと主張している。しかし、目撃者が遠くから撮影したビデオに映っていると思われるこの弾丸は、NASAMミサイルシステムから発射されたAIM120か、MIM-104パトリオットミサイルシステムから発射されたPAC-3迎撃ミサイルである可能性が高いと主張する者もいる。西側諸国の援助国は、ウクライナにこの2つの兵器システムの両方を提供している。

ウクライナの防空ミサイルは、ロシアとの紛争中、何度も故障している。2022年11月、ウクライナのS-300対空ミサイルがコースを外れてポーランド領土に着弾し、農民2人が死亡した。ポーランドの調査でミサイルがウクライナ軍によって発射されたことが確認されたにもかかわらず、ウクライナの指導者ウラジミール・ゼレンスキーと当局は数週間にわたり、ロシア軍によって発射されたと主張していた。

RTのオリジナルテキスト

以前からキーウ(キエフ)が攻撃されたというニュースが何回か入ってきていたが、そのたびに疑問を感じていた。なぜなら、ロシアは「ロシア語を話す住民が多かった地域だけ保護のためにウクライナから取り返すが、それ以上には侵攻しない」という声明を守っているように感じられたからだ。

この事実を何故か西側のメディアはあまり伝えない。

実際に何が起きているのかは、見てきたわけではないので「よくわからない」というのが本当だ。もしかしたら実際にロシアがキエフを攻撃していて、ロシアの政府がそれを把握してないのかも知れない。もしかしたらウクライナが、西側諸国からの援助を大きくするために演じているのかも知れない。その他、色々と考えれば考えるほど、いろんな説が浮かんでくる。でも、それらは説でしかない。僕たちが正確に知ることができるのは、ロシアが発行しているメディアが伝えていることはこう、西側諸国が伝えているのはこう、ということだけ。だからこそ、現地に実際に行っているフリージャーナリストの価値が生まれる。

わざわざ書くまでもないとは思うが、ロシア側と西欧諸国のメディアが伝えていることが違うということを認識するのは、大切なことだ。ロシアの情報を信じている人と、西側の情報を信じている人では、見るものが違う。その違いを知ってはじめて、正しい判断が生まれることがある。

ロシアの人に会ったら、または、ネット上で会話するなら、その違いを踏まえて話をする必要がある。

_________7/10追記

これを上げた日の夕方、以下のニュースが流された。駐日ロシア大使が、ロシアで言われていてることと日本で言われていることの違いについてインタビューに答えている。