アメリカ国民の多くは他国のために戦争をしたくない

Responsible Statecraft の記事に「他国のために死ぬような軍隊を派遣する意思のあるアメリカ人は減少している」という記事を見つけた。

以下に全文翻訳する。

概要
最近の防衛優先事項に関する世論調査は、他の調査と合わせて、明るい見通しを示している。

AARON SOBCZAK
AUG 21, 2024

本文
2024年7月の世論調査では、米国民の大多数が台湾やウクライナの防衛に米軍を派遣することを支持しておらず、この感情はこれらの白熱した問題に関する最近の他の調査結果と一致しており、米国人が国際問題における自制と不介入主義に好意的になりつつあることを示唆している。

実際、シカゴ国際問題評議会が2月に実施した別の世論調査では、米国人の過半数(56%)が、米国はイスラエルのガザ戦争でどちらかの側につくべきではないと考えていることがわかった。また、同評議会が今月実施したより最近の調査では、近隣諸国から攻撃された場合に米国がイスラエルを守るために軍隊を派遣することを支持する人は10人中わずか4人だった。

同様に、最近のユーガブ(YouGov)の世論調査では、アメリカ人が外国の介入に疑念を抱いていることが明らかになった。世論調査では、79%が、アメリカが直接脅かされた場合にのみ介入を支持すると答えた(同盟国が攻撃された場合、その数字は49%に大幅に低下した)。同じ調査で、アメリカ人の大多数が正当だと考えた最近の戦争は第二次世界大戦だけだった。

これらの調査結果にもかかわらず、ワシントンは、ウクライナとガザでの和平交渉に遅れをとったり、中国との対立を煽ったり、あるいはペンタゴン、ひいては兵器産業に不必要に莫大な金額を投じたりして、世界中で戦争の火に油を注ぎ込み続けている。

「(私たちの)世論調査データから一貫して言えるのは、米国の公式外交政策と米国民が好む政策の間に乖離があるということだ」と、7月の調査を実施したディフェンス・プライオリティーズの広報担当タッカー・カス氏は述べた。「ワシントンから出される政策は介入主義的だが、少なくとも私たちが受け取った回答に基づくと、米国民は、率直に言って現在の政策よりも賢明な、より思慮深く、より洞察力のある政策を支持している」

国防優先事項に関する世論調査では、調査対象者のわずか22%が米国によるウクライナ防衛を支持していることも判明した。46%が反対し、32%が中立だった。30%が米国による台湾の中国に対する軍事防衛を支持すると答えたが、37%が反対し、33%が中立だった。さらに、調査対象者の過半数、44%が、中国との戦争回避が台湾の自治よりも重要だと同意した。

一方、米国民はウクライナへの米国の軍事援助を支持する可能性がますます低くなっている。シカゴ評議会の2022年の調査では、米国民の79%がキエフへの軍事援助を支持したが、同評議会の2023年9月の世論調査ではその数字は63%に低下した。ディフェンス・プライオリティーズの7月の調査では、ウクライナへの無条件支援の継続を支持する米国民はわずか20%だった。

他の世論調査では、米国民は中国の攻撃から台湾を軍事的に防衛することに反対していることが判明した。ディフェンス・プライオリティーズの指標に加え、シカゴ評議会が2023年11月に実施した調査では、台湾防衛を支持する人はわずか39%で、2024年には43%に上昇することが判明した。

イスラエルを軍事的に防衛することに対する米国人の支持も下降傾向にある。シカゴ国際問題評議会によると、イスラエル防衛のために米軍を使うことに対する支持は2015年から2021年まで50%強で推移していたが、2024年には41%に低下した。

アメリカ国民は、世界情勢への米軍の関与全般に疑問を抱いているようだ。ドイツ、トルコ、ポーランド、バルト諸国、日本、韓国、オーストラリアの米軍基地に対する支持は、2022年から2023年にかけて全体的に低下した。

こうした明らかな傾向にもかかわらず、注意すべき点もいくつかある。7月の国防優先事項に関する世論調査で見られるように、米国人は米国の外交政策をあまり追っていないため、関連する世論調査の質問に対して中立的または「わからない」と回答する割合が高い。世論調査は大きく異なる可能性もある。たとえば、米国による台湾防衛を支持する意見もいくつかあり、グローバル台湾研究所の調査では、2022年時点で61%が支持している。

さらに、国民は出来事やメディア主導の強力な物語に影響されることもある。たとえば、9月11日の攻撃の後、メディアはサダム フセインを追放するという考えを一般化するのに一役買った。2002年1月までに、米国国民の73%がイラクでの武力行使を支持し、国内の大量破壊兵器の存在に関するブッシュ政権の発言を信じていた。2024年の調査によると、長年の政策の失敗と後知恵の結果、イラク戦争が正しい選択だったと考える米国人はわずか32%だった。

今日のアメリカ人は、ソーシャルメディアや非主流メディアで別の意見を見ることができるようになり、ワシントンの公式見解に対する懐疑心が高まっているのかもしれない。「大統領やその他の介入主義者は、道徳的説教や脅しによって軍事冒険主義に対する国民の短期的な支持を得ることが多い」と、ケイトー研究所の上級研究員ダグ・バンドウ氏はResponsible Statecraftに語った。「しかし、こうした戦術の効果が薄れ始めると、そしてアメリカ人が遺体袋で帰国し始めると、国民の熱意は衰えるのが普通だ。その結果、アフガニスタン、イラクなどの戦争に対する国民の嫌悪感は最終的に高まる」

アーロン・ソブチャク
アーロンは Responsible Statecraft の記者であり、ミーゼス研究所の寄稿者でもあります。リバティー大学で国際関係学の学士号と修士号を取得しました。

Fewer Americans willing to send troops to die for other countries Responsible Statecraft AUG 21, 2024

この記事からわかるのは、戦争をしたいと考えるのはエスタブリッシュメントばかりだろうということ。ここからいろんなことが考えられる。

1.もし米国が戦争をしようとするなら、真珠湾や911のような、トリガーになる事件が必要であるということで、それをさせないためには紛争や騒乱を極力避ける必要があるだろう。様々な誘導作戦には乗らないことが大切だと思う。

だからと言って状況的にあまりにもひどいときにはどうすればいいかといえば、正しい情報を得て、適切に行動しなければならない。そのための報道体制などが必要とされるだろう。日本のように紛争地にジャーナリストが行けないのは、この点で問題だと思う。

2.日米安保体制はこのままで良いのか心配である。平等なやり取りができない場合、最初に犠牲になるのは自衛隊であり、一般国民であろう。戦争に向かうプロパガンダを流す人々は戦場には行かない。

オーストラリアのやるべきこと:戦争支援をやめ、米国の属国になることを避ける

オーストラリアの Pearls and Irritations は、平和と正義を重視し、進歩的かつリベラルな視点から意見を交換するプラットフォームです。そこに8月13日に掲載された記事を邦訳しました。

Aug 13, 2024

概要
2024年9月にニューヨークに集まる世界の国々は、手遅れになる前に「戦争の惨禍を終わらせる」という課題に直面することになる。核の大惨事がこれほど間近に迫ったことはかつてなかったことを、誰もが知っている。

本文
安全保障理事会における米国の拒否権と軍事力の巨大さは、米国の世界覇権を永続させるためだけに、世界の国々を危険にさらしている。自らを「例外的」かつ「不可欠」とみなす米国では、次の大統領選挙で誰が勝利しても、イランと中国に対する米国の根深い敵意を変えることはなさそうだ。トランプ氏もハリス氏も、その莫大なコストにかかわらず、戦争を阻止する可能性は低い。

米国と非常に緊密な関係にあると主張する国として、オーストラリアには、他の国々に加わっ​​て世界的方向転換を求めることでその影響力を生かすまたとない機会がある。9月の国連総会では、加盟国の大多数がガザとヨルダン川西岸での戦争終結を求めるだろう。イスラエルと米国は、自国の条件でのみ戦争を終わらせることを望んでいる。米国とNATOは、ウクライナでも同じことを望んでいる。

では、我が国の外務大臣が総会で演説する際、オーストラリアは世界の東側と南側を支持し、国連憲章と国際司法裁判所、国際刑事裁判所の判決を明確に支持すると発表するだろうか。独自の考えと外交政策を持ち、アジア地域と共通の利益を持ち、武力の威嚇と行使を拒否する国を代表して発言するだろうか。バイデンの最新の「悪の枢軸」からオーストラリアを遠ざけ、オーストラリアはイランや中国に対するアメリカの戦争に参加することに興味がないと述べるだろうか。

ペニー・ウォン氏(訳者注・オーストラリアの外務大臣)は、首相と国防大臣のこうした発言を、選出される前から米国の総督のように振舞ってきた2人に許可してもらうのは難しいだろう。彼女は、イスラエルとウクライナを優遇し、中国とロシアを悪者にする主流メディアの反動的な既得権益層に導かれ、深く分裂したオーストラリア世論の反応と自分の発言を比較検討しなければならないだろう。ABCやSBS(訳者注・オーストラリアのテレビ局)は自己検閲を行い、さらなる資金と雇用を失う恐れに怯えているが、彼女は必ずしも好意的な報道を期待できるわけではない。8月9日、彼女は米国と英国に加わり、イスラエルの代表が含まれていなかったという理由で、長崎の記念行事へのオーストラリアの参加を撤回した。これは、これから起こることの前兆かもしれない。

しかし、もし彼女に勇気があるなら、ウォン氏の演説にはどんな内容が含まれるだろうか?

まず国連総会の大多数の平和要求と国際裁判所の要求を認め、外務大臣はオーストラリアが以下の行動を取ると発表できるだろう。

・オーストラリアからイスラエルに供給する軍事装備品のメーカーへの軍事装備品のあらゆる部品の輸出を禁止するなど、イスラエルに制裁を課す。

・イスラエル国防軍をテロ組織と宣言する(ハマスやヒズボラと同様)。

・イスラエルに対する国際制裁を求める。

・米国に対し、ガザ地区住民とヨルダン川西岸のパレスチナ人を殺害するための武器供給を停止するよう求める。

・同盟国に対し、米国に対しイスラエル政府への武器供給を停止するよう求めるよう求める。

・占領地の占領継続は違法であり、国連加盟国は占領地の維持に援助や支援を行ってはならず、イスラエルのガザでの行動は自衛に当たらないとする国際司法裁判所の判決に対するオーストラリアの支持を表明する。

・パレスチナ国家の承認と国連への正式加盟を支持する。

オーストラリア政府にとって、9月に国連総会と広く公表された世界世論を無視するのは容易ではないだろう。

9月12日から21日までは平和週間が開催され、私たち全員が直面している危険に対する国民の懸念に応える国際イベントが数多く開催される。平和構築同盟は9月10日から12日まで世界規模の活動を行い、9月21日から28日までは国際平和フェスティバル、そして22日から23日までは未来のためのサミットが開催される。

オーストラリアでは、Raising Peace が 9 月 14 日から 23 日までイベントを開催します。これには、国際平和デーである 9 月 21 日に開催される WorldBEYONDWar の 3 か国イベントのオーストラリア セグメントも含まれます。

Raising Peace

オリジナルテキスト Pearls and Irritations Australia’s to-do list: stop supporting war, avoid becoming US satrap 24/8/13

「平和のため」と称して続く紛争に効果的な手立てはないのだろうか? 以下のNEWSWEEKの記事を読むと、西欧が中東・ロシアをけしかけているかのように思える。

ウクライナに国境を侵されたロシア、「とてつもなく大きな」反撃を用意か

米欧6カ国大使、平和式典欠席 なぜか?

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に欧米六カ国の駐日大使らが参列しないことが、鈴木史朗長崎市長から8日に発表された。

元はといえば、イスラエルの大使を今回呼ばなかったことが原因だとされている。鈴木市長は「個人的には呼びたかったけど、(祈念大会の実好委員が?)そのように決められたので」というような発言をしていた。

サウジアラビアに本拠がある「アラブニュース」はこのように伝えている。

東京:長崎市長は木曜日、1945年の原爆投下を記念する式典への米英両大使の出席を拒否したのは「残念だ」と述べた。

しかし同市長は、イスラエルを金曜日の式典に招待しなかったのは「政治的なものではない」とし、ガザ紛争に関連した抗議行動を避けるためだと繰り返した。

「大使が出席できないという連絡があったのは残念だ」と鈴木史朗氏は記者団に語った。

「政治的な理由ではなく、総合的に判断した。平和的で厳粛な環境の中で、円滑な式典を行いたい」と語った。

1945年8月9日、アメリカは長崎に原爆を投下し、爆発を生き延びたものの放射線被曝で亡くなった多くの人々を含め、74,000人が亡くなった。

これは、14万人が死亡した広島への最初の原爆投下から3日後のことだった。日本は1945年8月15日、第二次世界大戦における降伏を発表した。

米国、英国、フランス、イタリア、欧州連合(EU)、それにカナダとオーストラリアは、この式典に大使以下の外交官を派遣している。

アメリカ大使館とイギリス大使館だけが、長崎がイスラエルのギラード・コーエン大使を招待しなかったことと明確な関連性を示したが、ある情報筋はAFPに対し、イタリアの動きも直接の結果であると語った。

英国大使館は、イスラエルを除外したことで、「今年の式典に招待されなかった唯一の国であるロシアやベラルーシと、不幸で誤解を招くような同等性を生み出してしまった」と述べた。

フランス大使館のスポークスマンは、鈴木市長の決定を「遺憾であり、疑問である」とし、ドイツ大使館は「イスラエルをロシアやベラルーシと同じレベルに置く」ことを批判した。

火曜日に広島で行われた同様の追悼式典に出席したコーエン氏は先週、長崎の決定は「世界に誤ったメッセージを送るものだ」と述べた。

AFP (下線は複眼ニュースによる)

ARAB NEWS

筆者は下線した部分と似た話をどこかで読んだなと思った。それは「マスコミに載らない海外記事」というプログの「不快な西洋エリート主義と現実世界からの乖離の象徴、パリ・オリンピック」という記事の中だった。

タイトルの通りそのブログではいろんな海外記事を掲載しているのだが、その選び方が「日本のマスコミでは流さないような記事を邦訳する」というもの。筆者は時々見にいく。

問題の記事の中にこう書かれている。

 スポーツを通じて人類を団結させることは、フランス人ピエール・ド・クーベルタンの構想により1896年にギリシャで初めて開催された近代オリンピックの理念とされている。何十年にもわたり、世界最高峰のスポーツ大会は戦争や地政学的要因により混乱をきたしてきた。特に1980年と1984年にオリンピックがボイコットされた冷戦時代はそうだった。長年にわたる不安定さにもかかわらず国際政治において常に中立の姿勢が保たれていた。 

 もはやそうではない。現在のパリオリンピックは、あからさまに政治化されている。欧米が主導する国際オリンピック委員会が「ウクライナとの連帯」を宣言した後、ロシアとベラルーシはウクライナ紛争のため参加禁止となった。 

 これはIOCとオリンピックにとって完全なる不名誉だ。偽善はひどいものだ。アメリカとNATO同盟諸国が関与した多くの違法な戦争、イラクやアフガニスタンへの侵略と占領、その他の侵略行為を理由に、彼らを禁止することは一度も検討されなかった。 

「マスコミに載らない海外記事・不快な西洋エリート主義と現実世界からの乖離の象徴、パリ・オリンピック」

つまり、政治化しないはずのオリンピックを、パリオリンピックではしていたのだ。だからロシアとベラルーシを不参加とした。そして、今回の長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典には、ロシアとイスラエルを呼ばないと長崎市が発表した。それでイスラエルは、「ロシアと一緒にするな」と怒ったわけだ。ただ単に出席しないだけならともかく、まずはアメリカとイギリスを巻き込んだ。それに他の四カ国も足並みをそろえたわけだ。

イスラエルがアメリカとイギリスに指示したかどうかは情報がないので知らない。もしかしたらイギリスとアメリカは自発的にそうしたのかもしれない。

困ったのは長崎市だ。イスラエルとロシア、両国とも紛争中だ。きっと平和運動をしている人たちが、どちらの大使を呼んでも、多少の衝突が起きるかもしれない。それを懸念して両国に参加の案内を送らなかった。そしたら、イスラエルと近しい関係にあるアメリカとイギリスが不参加を表明したということ。鈴木市長の困惑は想像に難くない。

表面上はこういうことたが、「マスコミに載らない海外記事」を読んでからこの話を聞くと、少しニュアンスが変わってくる。つまり、西欧諸国は「善は我にあり」と主張しているように思える。だから「ロシアとベラルーシを排斥する」。その二国とイスラエルを同等に扱うなというわけだ。「平和祈念式典を政治化するな」と言われた長崎市は、「政治化しているのはどっち?」と思っただろうが、それを発言するわけにはいかない。

それぞれの立場に立つと確かに言い分はわかるが、穏当に言語化して、互いに歩み寄れるスペースを残して欲しいものだ。

ちなみに「マスコミに載らない海外記事」の「不快な西洋エリート主義と現実世界からの乖離の象徴、パリ・オリンピック」の出所はStrategic Culture Foundationという組織。英語版 wikipedia によれば、本部がモスクワにあるシンクタンクで、アメリカメディアの分析では、ロシアのプロパガンダをおこなっているという。Strategic Culture Foundation のサイトは存在するが、「不快な西洋エリート主義と現実世界からの乖離の象徴、パリ・オリンピック」という記事はなぜか消去されているようだ。「マスコミに載らない海外記事」にあるリンクは切れている。

混乱が起きることは覚悟の上で、六カ国の他にイスラエルとロシアの誰かを呼んで、話し合いの場を設けたらいいのにと思う。互いに嘘がないのなら。

_________________2024年8月9日追記

8月9日に時事通信社が以下のように伝えている。

 ジャンピエール米大統領報道官は7日の記者会見で、エマニュエル駐日大使が9日に長崎市で開かれる「原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」を欠席することを問われ、「この特定の問題を把握していなかったので、何が起こったかを正確に確認したい」と述べた。

 ジャンピエール氏は「方針の転換などについて、チームに聞かずに話をしたくない」とも語った。長崎の式典を巡っては、イスラエル大使が招待されないことに一部の国が反発している。

jijicom 「長崎式典欠席「把握せず」 米ホワイトハウス」

東京新聞の望月衣塑子氏は、5月17日に米軍機を使い、与那国町を訪れたことと共にエマニュエル大使の行動を「極めて侮辱的」と評している。

_____________2024年8月11日追記

ロシアのノズドレフ駐日大使が、西側諸国の大使が平和祈念式典に不参加を表明した件についての質問を受け「まさに式典が政治化されている一つの証だ」と述べた。

駐日米大使、11月に離任意向 民主勝利なら政権移行関与 共同通信 2024/8/10

暗殺は米国の意図か?

イランの新聞「テヘラン・タイムス」では、イスラエル政権がレジスタンスの司令官や指導者を標的にしていることに対して怒りを表し、2024年4月のイスラエル攻撃以上のことをしなければならないと訴えている。西欧諸国の対応についても非難している。

その中で、アナリストのホセイン・カナニ氏は、西側諸国が国際法を無視して攻撃するイスラエルにお墨付きを与えてしまったという。さらにモハマド・バヤティ氏によれば、米国が停戦合意を迫っているのは大統領選があるためで、それを急ぐために暗殺が行われたのではないかと書いている。

記事内容は以下の通り。

“暗殺は米国の意図か?” の続きを読む

韓国では婚姻率と出産率が上がった 日本は?

7月25日の韓国・東亜日報によると、5月の出生児数が1万9547人で、2ヵ月連続で増加傾向を示したそうだ。結婚件数も2ヵ月連続で20%以上増加し、2万件を超えたという。

減少傾向にあった出生児数の増加が、結婚と出産が急減した新型コロナウイルス感染拡大による一時的な基底効果にとどまるのか、長期的な傾向につながるのかはまだ分からないと分析している。

元記事はこちら。嬉しいけど不安な結婚・出産の反騰

アメリカ合衆国中央情報局(CIA)が発表している「The World Factbook」によると、2023年(推定)の合計特殊出生率の最新ランキングでは、韓国は 1.1 で世界226位であった。最下位は227位の台湾で 1.09 。両国とも何とか少子化傾向を脱したいと考えている。ちなみに日本は 1.39 で 215 位だ。トップ10はアフリカの国々が占めていて、トップは 6.73 のニジェール。10位はブルンジの4.96 だ。

新型コロナウイルス感染拡大による一時的な基底効果はアメリカでも起きていて、2020年に落ち込んでいた米国内の結婚の件数が21年には上昇し、22年までには年間で1,000人あたり 6.2 の割合に盛り返していたことが米疾病対策センター(CDC)の報告書に記されている。

また、離婚率も減少傾向だという。2000年には1,000人に4だった割合が、2022年には2.4に減ったという。

ある心理療法師によれば、コロナ後、結婚生活を始めるカップルの質が「愛情を注いで結ばれるパートナー」から「親友に近い関係」に変化しているという。

元記事。新型コロナ禍経て結婚が増加、離婚は減少基調続く 米CDCの新報告書

そもそもコロナ後には8割の先進国で出生率が上がっているが、なぜか日本はその波に乗れていないことを、2022年7月の記事で日経新聞が伝えていた。

出生率反転、波乗れぬ日本 先進国の8割上昇

この記事は21年までの統計に基づいているが、最近三年間は日本に上昇傾向が見えてきた。ところがそれは統計のマジックである可能性があるとみずほリサーチ&テクノロジーズは報告している。

少子化に歯止めがかかったのか 近年の合計特殊出生率上昇は、統計のマジックの可能性

都市化が進んだ先進国では、ほとんどの国で合計特殊出生率は2以下で、それ以上あるのはフランスの 2.02 だけだ。ぜひオリンピックに行った人たちに、そのコツを教わってきてほしい。

米国大統領選

2024年11月5日の選挙に向けて、アメリカは今揺れている。

27日に第一回の候補者討論会がおこなわれた。それをめぐって各紙、各局がいろんなことを言っているのが読めるし見れる。米国大統領選の大まかなところを追っていく。

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米国大統領選の記事一覧

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米民主党でバイデン下ろしの内乱 田中宇の国際ニュース解説 6月30日追記

米大統領選討論会 バイデン氏 トランプ氏 非難の応酬 NHK

アメリカの隠し球、RFK Jr.が動きだす

イスラエルがヒズボラとの戦争に備えられない理由

2024.6.25

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、レバノンの抵抗組織ヒズボラと対峙するため、テルアビブは一部の軍を北部に移動させる用意があると、同国のチャンネル14テレビに語った。テルアビブは2つの前線で戦争を仕掛けることができるのだろうか?

イスラエル国防軍(IDF)とヒズボラ戦闘員は、2023年10月7日のハマスの攻撃をめぐるテルアビブのガザ戦争開始以来、レバノン南部の国境を越えて攻撃の応酬を続けている。

「イスラエルの戦争内閣の中に、ヒズボラと第二戦線を開こうとする多くの省庁があることは知っていても、イスラエルの立場からすれば、二重戦線を想像することは非常に難しいだろう」と、ベイルートを拠点とする中東専門の学者でアナリストのロレンツォ・トロンベッタ博士はスプートニクに語った。

ヒズボラは、イスラエルがガザ地区でのパレスチナ市民の殺害を止めない限り、軍事行動を強化すると繰り返し警告している。
ヒズボラはイスラエルのラファ侵攻をめぐって攻撃を激化させている。
先週、ヒズボラ事務総長のセイエド・ハッサン・ナスララは、イスラエルがレジスタンス・グループに対して全面戦争を仕掛けるという脅しをごまかし、陸、空、海の3つの領域すべてでイスラエルに対して軍事行動を起こすことができる10万人規模の軍事力を持っていると警告した。
さらにナスララは、同運動はイスラエルとの「全面戦争」を望んでいないとし、ガザでの完全かつ恒久的な停戦を呼びかけた。

ヒズボラは先週、イスラエルの防空網をかいくぐり、発見されることなくレバノン領空に戻ってきた無人航空機(UAV)から撮影された9分間のビデオを公開した。その映像には、イスラエルの大都市のひとつであるハイファとその周辺にある、民間人や軍事的に重要な場所が映っている。
一部の推定によれば、ヒズボラは15万発から20万発のロケットとミサイルを保有しており、無人車両の使用もマスターしている。
しかし、アンカラ在住の安全保障・政治アナリスト、ハサン・セリム・オゼルテム博士はスプートニクに対し、1982年と2006年のイスラエルによる侵攻の再現は、レバノン南部に「破局」をもたらすだろうと語った。

「2006年、イスラエルはヒズボラに対して別の作戦を実行し、レバノンの地形に大惨事を残したことを覚えているだろう」オゼルテム博士は述べた。 「イスラエルには、作戦を遂行するためのすべての能力、特に航空能力と陸上能力がある。」

トロンベッタは、イスラエルの軍事力が「非常に強力で非常に高い」ことは認めつつも、ヒズボラとの戦争でテルアビブが成功する可能性については疑問を表明した。

「技術的に言えば、ヒズボラは無人機を持っており、主に最近、5月から6月にかけて、イスラエルの無人機、ヘルメス450やヘルメス900だけでなく、イスラエルのジェット戦闘機にも命中する、あるいは対抗できる地対空ミサイルを発射する能力を示した。「まず第一に、ヒズボラはこれらの地対空ミサイルでレバノン領土を防衛する能力を高めようとしている。

「第二に、彼らはここ数週間、武装ドローンや自爆ドローン、最近でもアイアンドーム・システムを何度も突破した別の飛行兵器を用いて、イスラエル領内に脅威をもたらす攻撃能力を示している」とトロンベッタは続けた。

ワシントンに拠点を置く戦略国際問題研究所(CSIS)は3月、2024年に起こりうるイスラエルとヒズボラの紛争が、テルアビブにとって2006年のイスラエル・レバノン戦争よりも困難なものになる可能性があるとの分析を発表した。
同シンクタンクは、ヒズボラが2006年に成功した「指揮統制を分散させ、(ヒズボラの)戦闘員が隠れて要塞化された位置を利用できるような、より市街化された地形に自衛隊を追い込むために再編成する」という戦術を長年にわたって構築してきたという事実に注目した。
ヒズボラは過去18年間、新しい武器で軍事備蓄を強化してきた。また、シリアにおけるISIS(※)やその他のイスラム主義テロリストとの戦いで豊富な軍事経験を積み、”通常の軍隊が使用する能力を利用できる “ようになった。

CSISはまた、レバノン南部の地理がヒズボラ・ゲリラにとって有利であり、岩だらけの丘に陣取って身を隠し、国境沿いのイスラエル軍陣地にロケット弾や無人航空機システム、対戦車誘導ミサイルを撃ち込むことができると指摘している。
イスラエルのライヒマン大学対テロ研究所は、ヒズボラが1日に最大3000発のミサイルを発射し、イスラエルの防空網を圧倒できると想定している。
研究者たちは、集中的な攻撃は戦闘後数日でイスラエルの地対空ミサイルの備蓄を枯渇させ、さらなるヒズボラのミサイル攻撃やドローン攻撃にさらされると警告した。彼らは、テルアビブは抵抗勢力との全面戦争に備える準備ができていないと主張した。

「イスラエルがレバノンのヒズボラに対して戦争を仕掛ける場合、イランやこの地域のイランの同盟国がイスラエルやアメリカの利益に対して軍を動かす可能性は非常に高い。

トロンベッタは、イスラエルがレバノンを総攻撃した場合、イエメンのフーシ政権やイラクのイスラム抵抗組織などがヒズボラを支援する可能性があると付け加えた。

SPUTNIKのオリジナルテキスト