米国とウクライナ30日間の停戦に向かう

タス通信に以下のニュースが流れた。

トランプ大統領がゼレンスキー氏を和平交渉においこむ、ワシントンはウクライナ協議に満足と報道官

同時に、カロリン・リービット氏は、ジッダで議論された米国とウクライナの合意に対するロシアの反応について説明を受けていなかったと指摘した。

概要
ニューヨーク、3月12日。/TASS/。ドナルド・トランプ米大統領はウラジミール・ゼレンスキー大統領を叱責し、ワシントンはウクライナの長期和平合意に真剣であると伝えたと、ホワイトハウス報道官のカロリン・リービット氏がFOXニュースのテレビ放送で語った。

本文
「彼(トランプ氏)は首席交渉官であり、ゼレンスキー氏を正当に評価し、米国は長期和平協定に真剣だと伝えた。我々はウクライナと今日の協定の成果に非常に満足している。そして我々はこれが長く永続的な平和として続くことを望んでいる。それがトランプ大統領の目標であり、我々はその目標を達成できることを望んでいる」と彼女は語った。

同時に、リービット氏は、ジッダで協議された米国とウクライナの合意に対するロシアの反応について報告を受けていないと指摘した。「進捗状況について最新情報は聞いていません。国務長官(マルコ・ルビオ氏)と国家安全保障担当大統領補佐官(マイク・ウォルツ氏)がこの件に非常に熱心に取り組んでいることは知っています。大統領は明らかに非常に熱心に取り組んでいます。大統領は今日一日中、サウジアラビアで展開している状況について報告を受けていました」と同氏は付け加えた。

火曜日、ジェッダで米国とウクライナの会談が行われ、その後、ウラジミール・ゼレンスキー大統領のウェブサイトに共同声明が掲載された。声明によると、双方は重要な天然資源の開発に関する包括的協定を近日中に締結することで合意した。キエフ政権は、ロシアとの紛争における30日間の停戦というワシントンの提案を受け入れる用意があることを確認した。その見返りとして、米国はウクライナへの情報提供と支援を直ちに再開することを約束した。

オリジナルテキスト Trump puts Zelensky in his place, Washington satisfied with Ukraine talks — spokeswoman Tass 2025/3/12 12:16

ほぼ同じ内容をNHKでは以下のように伝えている。

ウクライナ“停戦受け入れ用意” 米“ロシア側と12日 接触へ” NHK 2025/3/12 22:19

ウクライナの戦争が終わる

以下の記事はChihiro Sato-Schuh さんがFB上に書いた記事のコヒーです。

2月12日に、アメリカ大統領トランプとロシア大統領プーチンが電話会談したというニュースが入ってきて、ウクライナの戦争が急速に終わりになっていく方向へ向かい始めた。

2022年2月にウクライナの内戦にロシアが軍事作戦を始めてから、アメリカのバイデン政権とEUが後押しする形で、ロシアとの戦争が続いてきた。実のところは1ヶ月ほどで決着はついていて、イスタンブールで交渉が行われ、ウクライナは中立を守り、ロシア語を話す人々への差別をやめるという条件で、停戦になることになっていた。しかしそれが、ブチャの偽旗作戦で破棄になり、ゼレンスキー政権は、ロシアと停戦交渉をすることを禁止した。それ以来、ウクライナは負け続けているのに、延々と戦争を続けている。

それが今、ウクライナもEUも抜きに、トランプとプーチンが戦争の終結について相談し始めたのだ。このことは、ウクライナの戦争が、実のところはウクライナとロシアの戦争ではなく、アメリカとロシアの代理戦争だったことを、はっきりと示している。

2022年のイスタンブールでの停戦交渉が破棄になったのは、裏でアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの4ヶ国の首脳が内密に会談して、ウクライナに命じたからだったことが、あとになって表に出てきた。ウクライナ抜きで、4ヶ国の首脳が勝手に決めていたのだ。そして、ウクライナはそれに一方的に従わされただけだった。

この頃、イーロン・マスクが主導する政府効率化庁(DOGE)が、USAID(国際開発庁)を解体して支出調査を始めたことで、アメリカが世界中で代理戦争をしかけてきたことが、はっきりとした。USAIDとは実のところ、国際支援機関ではなく、支援の名目で、反政府組織やテロ組織を作り、政権を奪って、その国を操作するための秘密工作を行う機関だったのだ。

こうしたことは、第二次世界大戦後、CIAが行なってきたのだけれど、その後、NED(民主主義基金)やUSAID(国際開発庁)のような政府機関が民主化や援助の名目で行うようになった。ウクライナは、NEDとUSAIDの資金で、政治家たちが腐敗させられたり脅迫されたりして、アゾフ連隊というナチの組織がクーデターで政権を取り、ロシアに敵対する軍国主義的な国に変えられていった。

このナチ化した政権が、ウクライナ東部のドンバス地方でロシア語を話す人々を弾圧し始めたことから、ウクライナは2014年から内戦状態が続いていたのだ。その間、ドイツとフランスとロシアが仲介して、何度も停戦合意が出されたけれど、これが守られずに、ウクライナ政府はドンバスの人々を攻撃し続けた。それで、2022年2月に、ついにロシアが軍事介入することになったのだ。

アメリカ政府を裏で支配している軍産ロビー、グローバル金融資本家たちは、ウクライナを使ってロシアに戦争をしかけることが目的で、2014年からずっとロシアに何とか軍隊を出させようと挑発し続けてきた。それでついに、2022年にロシアが軍事介入を始めると、世界中のメディアが一斉に、ロシアが一方的にウクライナに侵攻してきたと報道した。この情報操作も、USAIDが行っていた。西側諸国の主要メディアに資金が流れて、ジャーナリストたちが買収され、操作されていたわけだ。

USAIDは、たとえばトランスジェンダーの権利のためにというような名目で、何千万ドルとか何億ドルとかの金額を出すのだけれど、実際の広報や教育の仕事にそんな大金が要るはずがない。そうしたことは名目にすぎなくて、実際には買収とか口止め料とか、脅迫とかテロ工作とかそういったものにお金が流れているというのが、実情なのだろう。

アメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンは、外国に来ているウクライナ人たちが、今世界で最もお金を持っていて、高価なブランド商品を買い漁っていると言っていた。ウクライナ支援といって、西側諸国から送られてくる資金は、実はウクライナ全体に腐敗のお金として流れていたようなのだ。

もちろん、ウクライナのメディアはすべてUSAIDなどから来る資金で買収されて、戦争を正当化するような情報しか流さないようにされていた。それでウクライナの人たちは、ロシア人がウクライナを占領しようとして攻撃してくると信じ込まされていて、しかもウクライナがロシアに勝ち続けているかのように思わされていた。戦争を続ければ続けるほど、兵士たちが犠牲になり、領土を失っていくだけなのに、そうしたことは知らされていなかった。

しかしそれは、西側諸国も同様で、主流メディアでは、ロシアが一方的に侵攻してきて、ロシアが負けているという報道しかしていなかったし、それに合わない報道は、すべて偽情報であり、ロシアのプロパガンダだということになって、激しく攻撃されていた。こうした情報操作のノウハウも、USAIDがジャーナリストたちに教え込んで、やらせていたものだった。

アメリカでは、CIAやUSAIDみたいな機関が、事実上、これまで政府を支配してきたのだ。それでいくつもの戦争を行うように操作されてきたし、それに従わない政治家は、脅迫されたり暗殺されたり、あるいはスキャンダルをでっち上げられて落とされたりしていた。

ところでトランプ政権は、就任してすぐにUSAIDの会計データにアクセスして、調査を始め、資金の流れを停止してしまったのだ。これにより、これまで裏でアメリカ政府を支配していた仕組みを破壊してしまった。

トランプは、就任したら24時間以内にウクライナの戦争を終わりにすると、一年くらい前には言っていた。しかし、あれから状況が変わり、就任した頃には、半年以内くらいにはと言っていた。トランプは、選挙の前からもうゼレンスキーと交渉しようとしていたけれど、ゼレンスキー政権は停戦交渉を拒否し続けていた。

もちろん、こうしたことはゼレンスキーが決めているわけではなく、背後にいて資金を流している組織が決めているのだ。これまではバイデン政権だったけれど、CIAやUSAIDを支配している軍産ロビーが指示しているのだろう。それに、そうした腐敗のお金に依存状態になっている人たちは、何とかして資金の流れを留めようとして、画策しているのだと思う。しかし、バイデン政権が消え、USAIDやCIAも停止される事態になると、状況が変わってくる。

トランプ政権は、USAIDを解体したあと、CIAとペンタゴンの調査を始め、資金を止めて、職員を解雇し始めた。その間には、パム・ボンディが司法長官に、トゥルシー・ギャバードが情報長官に正式に承認され、就任した。そうなってくると、いよいよゼレンスキー政権を操作している勢力は、支配力を失っていく。そうなったところで、トランプがプーチンと電話会談して、これからアメリカとロシアの協力関係を回復することで合意したという話になったのだ。

13日にブリュッセルで行われていたNATOサミットで、新しい防衛長官のピート・ヘグセスは、ウクライナがNATOに加盟するのも、ロシアが併合した領土を取り返すのも、現実的ではない、と言っていた。これまでずっと、こうしたことを言うことは、西側世界では厳禁だったのだ。こんなことを言えば、プーチンの工作員だとか、偽情報を拡散する悪党だとか言われて、攻撃されまくっていた。

しかし、これがまったくの現実であることは、多くの人が知っている。そして今、アメリカの防衛長官がその真実を、まったく当たり前のように、堂々と語っていたのだ。このことには、これまでずっと嘘が真実として通されてきたあとで、ようやく本当のことが当たり前に通るようになったという安堵感がある。

すると今度は、NATO事務総長のマーク・ルッテが、NATOはウクライナの加盟を確約したことはない、とこれまでと違うことを言い始めた。これまでは、NATO加盟をまるで馬の目の前にニンジンをぶら下げるみたいに言ってきたのにだ。トランプが大統領に就任してから、これまで捻じ曲げられてきた事実が、次々と捻りを解かれて、あるべき姿に戻っていくかのようだ。

そもそも、ロシアがウクライナへの軍事介入に踏み切ったのも、NATOが東へと拡大し続けてきて、2014年以降ウクライナに事実上軍事拠点を持っていたからなのだ。ウクライナ憲法では中立を定めているのだから、これは憲法違反だ。それに、ソ連崩壊後、NATOは東へ拡大しないという約束で、ワルシャワ条約機構を解体したのに、その約束が破られ続けてきたのだから、ウクライナが中立を守って、NATOが撤退しないかぎり、ロシアとの間に本当の和平交渉は成立しない。

そして昨日、トランプは、ウクライナのことを聞かれて、「ウクライナがNATOに加盟できるみたいに、バイデン政権が思わせたのが原因だ。ロシアのせいじゃない」とさらりと言っていた。

トランプはまた、ロシアとアメリカの国際関係を復活させ、G8に戻すとも言っていた。ロシアを外したのは、大きな間違いだったのだと。ロシアと中国とともに、軍事費を半分に削減するつもりだとも言っていた。こんなに多くの軍事費など必要ないのだから、そのお金を別なことに使うべきだと。

14日からミュンヘンで安全保障会議が開かれて、副大統領のヴァンスが出席するというので、ヨーロッパのメディアは、アメリカはヨーロッパにNATOの軍事費をもっと出せとか言うのだろうと言っていた。しかし、ヴァンスが言ったことは、まったく別のことだった。安全保障といったら、外から来る敵から防衛する話だと思われているけれど、ロシアも中国も脅威ではない、本当の敵は内側から来るものだ、とヴァンスは言ったのだ。

そして、ヨーロッパで行われている言論統制のことや、ルーマニアの大統領選挙の結果を無効にしたことなどを批判し始めた。それこそは、民主主義の脅威だろうと。実際、この数年、ヨーロッパの選挙は明らかに操作されていて、ロシアに敵対する政治家しか政権を取らないようになっていた。そうでない政治家が選挙で選ばれると、ロシアが介入したからということで、無効にしようとするのだ。まさにそうしたことが、ウクライナの戦争を長引かせてきた原因でもある。そして、そうしたことすべてを、USAIDやNEDが巨額の資金を投入して行なってきたことが、この一週間くらいで表に出てきたのだ。

EU外務大臣は、ウクライナとEU抜きで停戦交渉をするのはおかしいと怒っていたけれど、こういう人たちこそは、USAIDから流れるお金で支配されている人たちなのだ。だから、トランプ政権にとっては、アメリカを軍産ロビーの支配から解放するためには、ヨーロッパの政権もまた解放する必要がある。ヴァンスはその話をしていたのだ。

第二次世界大戦後、アメリカ、イギリス、ソ連、中国の4ヶ国が戦勝国として、国連を主導して世界平和を保つはずだったのだけれど、イギリスとアメリカがこれを破って、東西冷戦の状態を作ったのは、軍産ロビーが政府を動かしていたからだった。そうでなければ、第二次世界大戦後、国際紛争はすべて外交的に解決され、戦争はもう起こらないはずだったのだ。

戦後80年間の戦争を作り出してきたのが、CIAでありUSAIDであり、NEDだったのだ。これが今、解体して、トランプ政権は、ロシアと中国の政権と協力関係を作ろうとしている。ウクライナの戦争が終わるということは、まさにこの作られた東西対立を最終的に終わらせるということを意味している。

民族浄化か土地所有か

物議を醸しているトランプ氏の言動。また一つ大きなものが。それがガザ住民の域外移住にいて。読売新聞には「ガザ所有構想」と表現されているが、BBCでは「民族浄化」だと穏やかではない。

パレスチナ自治区のアッバス議長は声明を発表し、トランプ氏の案を断固として拒絶。「私たちの人々の権利が侵害されることは許されない」と言った。当然だろう。

トランプ氏の構想によれば、ガザをアメリカが所有しリゾートにするのだそうだ。パレスチナ自治区の人たちが怒るのは当然だ。

アメリカがガザ地区を「引き取る」とトランプ氏が発言、ネタニヤフ氏との会談後 BBC 2025/2/5

パレスチナや国連、「民族浄化」と強く非難 トランプ氏のガザ再建構想 BBC 2025/2/6

以下は現代イスラム研究センター理事長宮田律氏のFBから転載。

米国のトランプ大統領は、「解体現場」のようなガザを米国が引き継ぎ、再開発して「中東のリビエラ」のようなリゾート地にすると述べた。トランプ氏はこの問題を何カ月もかけて綿密に研究してきたと述べた。ガザ地区の住民を、ヨルダンやエジプトに受け入れさせ、米軍を駐留させながら、再開発する考えを示した。占領地住民を強制的に移住させることは、むろん国際法に違反する。米国がこの不動産開発に実際に着手すれば、ハマスも様々な手段を使って妨害することを考え、米軍にも攻撃をしかけることは十分考えられる。

 この新たな「民族浄化」計画は、昨年3月にトランプの娘婿のジャレッド・クシュナーがガザ地区の海岸沿いの土地は非常に価値があるかもしれないと述べ、イスラエルはガザ地区を「浄化」するにあたり民間人を立ち退かせるべきだと提案したことによって始まった。

 クシュナーはホワイトハウスを去った後、資金の大半をサウジアラビア政府の政府系ファンドから得たプライベートエクイティ会社を設立した。彼はその資金数百万ドルを、ガザを含む占領地で使用されている軍事・安全保障装備で中心的な役割を果たしているイスラエルのハイテク企業に投資した。

 クシュナーはガザでの戦争を「少し残念な状況ではあるが、イスラエルの観点に立って、私は住民を避難させ、その後一掃するために最善を尽くす」と述べた。24年5月にイスラエルの「エルサレム・ポスト」紙はネタニヤフ首相の戦後ガザ地区に関する構想「ガザ2035」を発表した。その構想が書かれた文書には「ゼロからの再建」が強調され、この言葉にはネタニヤフ首相のガザに関する目標、つまりガザを徹底的に破壊し、その後に新しい都市をゼロから設計し、立て直すという目標が表れていた。

 トランプが今回発表した構想は、彼の支持基盤であるクリスチャン・シオニズム(福音派)の世界観を進めようとしているようにも見える。クリスチャン・シオニズムは、パレスチナにユダヤ人が集まれば集まるほど、かつてキリストが生きていた時代に近づき、キリスト復活のための条件が整い、復活したキリストは人類に幸福をもたらす千年王国を建設すると考えている。他方、イスラエルの極右である宗教シオニストは、ユダヤ人がパレスチナの地を支配すれば、メシア(救世主)が到来すると考えている。このように、米国のクリスチャン・シオニズムとイスラエルの宗教シオニズムとでは、ユダヤ人のパレスチナ支配を待望するという共通性をもっている。

 パレスチナ人をガザから放逐するという民族浄化計画は、23年10月7日のハマスの奇襲攻撃を受けて新たな段階に入った。モサド(対外諜報・諜報活動と特務工作を担当)とシンベト(イスラエル国内と占領地での治安維持と防諜活動に従事)を統括するイスラエル情報省は秘密の覚書を作成した。この覚書の内容は、1.ガザのハマス政権の打倒、2.必要な政策に応じて、ガザ住民に対する国際的支援のあり方を考える、3.ガザのイデオロギーの変化(脱ナチ化)のために、徹底した政策が必要である、4.ガザからシナイ半島に住民を追放するなどだった。ガザでジェノサイドを行い、住民の放逐を考えるイスラエルこそ「脱ナチ化」が必要であることは言うまでもない。

 2024年1月、イスラエルの極右入植者組織は「ガザへの(ユダヤ人の)帰還会議」を主催した。イスラエル極右の閣僚や国会議員たちが出席し、ガザにおけるのイスラエル入植地の再建と6つの新入植地の追加計画を示す地図が提示された。その会議にはネタニヤフ政権のイタマル・ベングビール国家治安相が踊っている姿が見られた。

 1948年12月に国連総会はパレスチナ難民が故郷に帰る権利(帰還権)を認め、帰還を望まない難民には、土地など彼らが失った財産に対する金銭的な補償が行われるべきであるという決議を採択した。(国連総会決議194Ⅲ)国際法に従えば、ガザ住民たちにはイスラエル領内を含めて、イスラエル建国によって避難を余儀なくされた土地への帰還の権利がある。ガザのリゾート地化を訴えるトランプ大統領はパレスチナ問題の歴史も、国際法も考慮の外らしい。トランプ政権で、米国の国際社会での孤立はいっそう進むだろうが、日本もこの「狂った」ような大統領になって、日米同盟のあり方を根本から見直すよい機会を与えられたと思う。

誰にも止められないワシントンの超兵器とは何か?

「誰にも止められないワシントンの超兵器」と題された興味深い記事が「マスコミに載らない海外記事」に掲載れた。

とても簡単に書くと米国の全米民主主義基金、通称NED(National Endowment for Democracy)がその超兵器だという。なぜ筆者はそのように主張するのかというと、政治干渉と攻略と支配を通じてアメリカに有利な状況を生み出しているからだという。以下がその文章へのリンク。

誰にも止められないワシントンの超兵器 マスコミに載らない海外記事 2024.12.28

オリジナルテキストはこちら。

Washington’s Unstoppable Superweapon NEO 2024.12.24

西側の「犯罪」を暴露する不屈の愛国者ロシア国内で暗殺

BBCに以下のニュースが流れた。

イゴール・キリロフ:ロシアの化学兵器責任者で代弁者、モスクワで殺害される

モスクワでの爆発で死亡したロシアの放射線・化学・生物防護軍の指揮官であるイゴール・キリロフ氏は、ウクライナの戦場での化学兵器の使用を監督したとして西側諸国から非難されていた。

ロシアでは、彼は真実のために戦い、西側の「犯罪」を暴露する不屈の愛国者とみなされていた。

ウクライナのSBU保安局の情報筋は、爆発の背後にウクライナ軍があり、これは「戦争犯罪者」に対する特別作戦であり正当な標的だったと述べた。

ロシア当局によると、キリロフ氏と側近は、モスクワ南東部のリャザンスキー大通りにあるキリロフ氏が住んでいた建物から出た際に電動スクーターに仕掛けられた爆発物によって死亡した。

同氏はロシア国防省での突飛な報告で悪名を馳せており、英国外務省は同氏を「クレムリンの偽情報の重要な代弁者」と位置付けていた。

キリロフ氏は単なる代弁者ではなく、ロシアのティモシェンコ放射線・化学・生物防護アカデミーの責任者を務めた後、2017年にロシア軍の放射線・化学・生物防護部隊を指揮した。

ロシア国防省によると、この部隊の主な任務は、危険の特定と部隊の汚染防止だが、「火炎放射手段を使って敵に損害を与える」ことでもある。これは、サーモバリック弾頭を使用して標的を破壊できるロシアの火炎放射器システムを指していると考えられている。

英国外務省は、キリロフ氏が指揮する部隊が「ウクライナで野蛮な化学兵器」を展開したと述べ、暴動鎮圧剤の広範な使用と「毒性のある窒息剤クロロピクリンの使用に関する複数の報告」を強調した。

殺害の前夜、ウクライナのSBUは、ウクライナ東部と南部戦線で禁止されている化学兵器を「大量使用」したとして、欠席裁判で同氏が刑事事件に指名されたと発表した。

2022年2月にロシアの全面侵攻が始まって以来、ウクライナ領内で「敵が化学兵器を使用した事例は4,800件以上」あるとSBUは指摘した。

同報告書は、ドローン攻撃や戦闘用手榴弾に有毒物質が使われたとしている。

キリロフ氏は戦争開始当初から、ウクライナと西側諸国に向けた一連の主張で悪名を馳せてきたが、そのどれもが事実に基づいていない。

彼の最もとんでもない主張の1つは、米国がウクライナに生物兵器研究所を建設しているというものだった。これは、2022年にその小さな隣国への全面侵攻を正当化するために使われた。

彼は2022年3月に、2月24日の侵攻当日にロシアが押収したと主張する文書を提出したが、これは親クレムリンメディアによって大きく報道されたが、独立した専門家によって否定された。

キリロフ氏のウクライナに対する悪名高い非難は今年も続いた。

先月、同氏は、ロシアのクルスク国境地域へのウクライナの反撃の「最優先目標の一つ」はクルスク原子力発電所の占拠だと主張した。

彼は、ウクライナの報告書に基づいたとされるスライドショーを発表し、事故が発生した場合に放射能汚染にさらされるのはロシア領土のみであると主張した。

キリロフ氏が繰り返し主張したテーマの1つは、ウクライナが「汚い爆弾」の開発を模索しているというものだった。

2年前、彼は「ウクライナの2つの組織が、いわゆる『汚い爆弾』を作るよう具体的な指示を受けている。この作業は最終段階にある」と主張した。

彼の主張は西側諸国から「明らかに虚偽」として拒否された。

しかしキリロフ氏の主張を受けて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、もしロシアがキエフがそのような兵器を準備していると示唆するなら、それはただ一つのことを意味する、つまりロシアがすでにそれを準備しているということだと警告した。

キリロフ氏は昨年夏、再び汚い爆弾の主張を再開し、今回はロシアが昨年2月に制圧したウクライナ東部の都市アヴディーイウカ近郊で化学兵器の実験室が発見されたと主張した。

同氏は、キエフは西側諸国の支援を受けて、精神化学兵器であるBZや青酸、塩化シアンなどさまざまな物質を使用して国際化学兵器禁止条約(CWC)に違反していると主張した。

ロシアは化学兵器禁止条約の署名国であり、2017年に冷戦時代の化学兵器をすべて廃棄したと判断された。翌年、ロシアの工作員は神経剤ノビチョクを使用してイギリスの都市ソールズベリーに致命的な攻撃を実行した。

米国はその後、ロシアがウクライナの戦場で窒息剤のクロロピクリンを使用したと非難している。

キリロフ氏の暴力的な死はロシアの軍部と政治体制に衝撃を与えた。ロシアの国会であるドゥーマでは1分間の黙祷が捧げられた。

ロシア上院の副議長コンスタンチン・コサチェフ氏は、キリロフ氏の死は「取り返しのつかない損失」だと述べ、退役軍人で国会議員のアンドレイ・グルリョフ氏は、キリロフ氏の殺害は無視できないと語った。

グルリョフ氏は、戦場でのみ見られる武器の調達に責任があり、「米国とその衛星国の犯罪行為」を明確に理解していたと述べた。

彼の死は、親クレムリン派にとっては単なる打撃ではなく、ウクライナがモスクワの高官を標的にする能力を持っていることの証拠でもあるとみられている。

評論家の中には、英国や米国を非難する者もいた。ロシアの従軍記者サーシャ・コッツ氏によると、これは敵のエージェントが「我々の後方」で活動し、人々をスパイしている証拠だという。

オリジナルテキスト Igor Kirillov: Russia’s chemical weapons chief and mouthpiece killed in Moscow BBC 24.12.17 21:00

日本ではあまり報じられてないようだ。ロイターやブルームバーグに出ているようだ。以下はロイターの記事。

ウクライナ保安庁、ロシア軍の化学兵器責任者を殺害=関係筋

アサド政権の崩壊に対するある見方

以下は Strategic Culture Foundation による記事です。

ロシアはアルカイダの包囲にもかかわらずシリアの同盟国を守った

概要
モスクワはアサド政権の崩壊を阻止するためにあらゆる手段を講じたが、現地の状況はテロリストの進撃に有利に働いた。

本文
バシャール・アル・アサド政権は崩壊し、シリア・アラブ共和国はもはや存在しない。シリア軍はHTSテロリスト(旧アルカイダの地方支部アル・ヌスラ戦線)に対してある程度優位に立っていたにもかかわらず、彼らの進撃を阻止できず、首都陥落と政権交代を招いた。ロシアの支援のおかげで、アサド大統領とその家族は命を救われ、シリア大統領はすでにモスクワで亡命を認められている。

ソーシャルメディアでは、親欧米派のプロパガンダや反ロシア派の団体が、アサド大統領の敗北は「ロシアのせい」だという主張を広めている。ロシア、イスラエル、トルコの間でシリア陥落を可能にする「取引」が行われたとの噂も広まっているが、これらは根拠のない主張だ。

アサド政権の失脚は軍事的敗北ではなくクーデターの結果であることを理解することが重要です。アルカイダ軍は、主にシリア軍の戦略的撤退によりある程度の前進を遂げたものの、戦場で大きな損失を被っていました。ロシア航空宇宙軍はテロリストの拠点を積極的に狙っており、正統なシリア政府にとって有利な軍事状況を作り出していました。

しかし、報道されているように、アサド大統領は反体制派との「平和的な」政権移行を認める協定に署名するよう圧力をかけられた。その見返りとして、彼は国を離れモスクワに亡命する機会を与えられた。シリア大統領はおそらく、さらなる内戦を避け、シリア国民の生活を改善するためにそうしたのだろうが、国内の「同盟国」からも大きな圧力を受けていた。

ダマスカス陥落の数日前、共和国防衛隊将校と他の軍部隊の間に緊張が生じているという報告が表面化し始めた。政府支持派の軍隊内で不満が高まり、反乱の可能性が高まっていたのは明らかだった。シリア軍は技術的、数的優位に立っていたにもかかわらず、一貫して撤退していたため、一部のアナリストはシリア軍司令官による妨害工作を疑った。

経済危機、外国からの制裁、そして満足のいく改革の欠如がシリア軍の不安定な状況を生み出していたことを忘れてはならない。シリア軍の将軍たちの給料はわずか数十ドルと極めて低く、それが彼らが外国勢力に容易に取り込まれた理由である。

アサド大統領への裏切りはあったが、それはロシアやイランのような外部同盟国からではなく、シリア内部からのものだった。これにはいくつかの要因が考えられる。アサド大統領は最近、イランの伝統的なライバルである湾岸諸国と交渉を始めており、湾岸諸国はシリアに外国軍の駐留を減らすよう圧力をかけていた。シリアの将軍の中にはこの説を支持する者もおり、テロ攻撃中にロシアとイランのさらなる支援を求めるアサド大統領の能力を制限する圧力を生み出していた。

戦闘を禁じられたことに苛立つシリア兵士たちを映した多数のビデオが浮上した。一般兵士たちはアルカイダから国を守る準備ができていたが、指揮官は彼らに戦闘をしないように命じた。アサドへの裏切りはシリア軍内部から来たものであり、トルコや湾岸諸国を含む外部勢力とのつながりがある可能性もあるという主張を裏付ける十分な証拠がある。

ロシアの視点から見ると、伝統的な同盟国へのコミットメントとは別に、アサド大統領を守る現実的な理由もあった。親ロシア派のシリアは、ヨーロッパに供給できるはずだったカタール・トルコ間のガスパイプライン建設を阻止した。さらに、シリアのロシア軍基地は、モスクワが地中海に戦略的な足場を確保し、トルコとのバランスの取れた関係を維持することを可能にした。

さらに重要なのは、ロシアが安全保障上の懸念を抱いていたことだ。シリアのアルカイダ戦闘員はウクライナの教官から訓練を受け、キエフへの援助物資から西側諸国の武器を装備していた。HTSには中央アジア出身のサラフィー主義傭兵も相当数含まれていた。ロシアは中央アジア移民グループへのテロリストの侵入により重大な安全保障上のリスクに直面しており、シリアからの戦争経験のあるテロリストの帰還は深刻な懸念事項となっている。

ロシアにとって、これらの熟練したテロリストが中央アジアに戻ることを許すことは利益にならないし、シリアで戦ったワッハーブ派民兵からの軍事的増援によってキエフ政権が利益を得ることも利益にならない。アサドが権力の座に留まり、テロリストを倒していれば、これらのリスクは最小限に抑えられただろう。

結局のところ、アサド政権の失脚は、自らの将軍たちの裏切りによるものだった。ロシアはシリア支援に全力を尽くしたが、シリア軍自体は戦闘に参加していなかった。シリアでの悲劇は、ロシアの地政学的敵対勢力の勝利を意味しており、モスクワがこの結末を阻止するためにあらゆる手を尽くしたという事実を強調している。

オリジナルテキスト Russia defended its Syrian ally despite Al Qaeda’s siege Strategic Culture Foundation 2024.12.14

ちなみにNHKはこのように伝えています。

アサド政権崩壊なぜ?シリアでいったい何が?

マスコミに載らない海外記事ではこんなことが書かれています。

もう一つの国が帝国の塊に吸収された