私達からCBDを奪わないで

一昨日、友人から「よかったら署名してくれないか」という依頼があった。こちらへの署名だ。

私達からCBDを奪わないで下さい!

この署名サイトにはこう書かれている。

私たちはてんかん、がん、慢性痛などの様々な病気に対して、カンナビジオール(CBD)という成分を使用し、体調を維持している患者の集まりです。

私たちのメンバーの中には、例えば7歳の難病を持つ女の子とその家族がいます。先天性の難病のため3歳まで生きられないと医者に告げられた女の子は、2歳9ヶ月の時からCBDを摂取し始めました。それまで1日に何度も頻繁に発作が起きていましたが、CBDのおかげで発作が減り始め、4歳を過ぎてからは、ほとんど発作が起きなくなりました。健康な生活を送ることができるようになり、家族には笑顔が溢れるようになりました。

しかし、この薬が、このままでは使えなくなってしまいます。

CBDには依存性や乱用性は伴いませんが、大麻から作られる製造過程上、どうしても微量の麻薬成分(THC)が混入することは避けられません。10月1日から大麻取締法が改正されることに伴い、政府は残留THCの基準値に関して、0.0001%(1ppm)という値を提案していますが、これは国内で流通するCBD製品の大半が抵触する厳しい値です。

新しいルールがこのまま施行されると、今まで使っていたCBD製品が使えなくなってしまいます。私たちは健康維持の為にCBDを切実に必要としています。これは命に関わる問題です。どうか私達からCBDを取り上げないでください。

私達からCBDを奪わないで下さい!

署名するからにはきちんと内容を把握したいと思うが、どうも腑に落ちない。なぜ政府は生命維持に必要な薬を禁止するのか? 

ネットを検索したら、厚労省のpdfを見つけた。

大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法 律の成立について

このpdfを読むと、麻薬成分を徹底的になくしたいという意図はわかるが、計測限度以下にしなければならないというのは、なんかとてもヒステリックに感じる。「塩は塩化ナトリウム以外のものが含まれていたら塩とは認めない」みたいな感じだ。最近では塩田などで作られる塩が認められるようになったが、戦後一時期、塩は塩化ナトリウム以外認められないという時期があった。今から思うと、何のためにそうしたのかよくわからない。

法律改正の結果、大麻草から抽出する油、CBDオイルがほぼ禁止されることになる。

CBDオイルには三種類あるそうだ。

1) フルスペクトラム(100種類以上の生理活性物質を含む全草成分のオイル。花穂や葉からも採取しているのでTHCを含む)

2) ブロードスペクトラム(THC以外のカンナビノイドすなわちCBDだけでなくCBG、CBC、テルペンなども含有するフルスペクトラムに近いオイル)

3) アイソレート(CBDを単離し、ココナツオイルなどに溶かしたもの。)

1) には麻薬成分であるTHCを含むので、日本では扱えない。

2) と 3) が日本で売買されているCBDオイルであり、CBD製品には錠剤になっているようなものもあるそうだ。2) であろうと 3) であろうと、THCを完全に除去するのは難しいのだろう。現在流通している製品の大半は、0.数% はTHCが含まれるようだ。

ここで、普通に考えると、「だったらTHCが全く含まれないCBDを摂取すればいいじゃない」 と思ってしまうが、話はそう簡単ではない。

例えとして塩の話に戻る。今ではいろんな種類の塩を楽しむことができる。沖縄に塩屋(まーすやー)というお店がある。塩の専門店だ。そこには世界各国のお塩が取り揃えられていた。そこでいろんな塩を味わったことがある。塩の味は、微量に含まれる不純物によってかなり異なる。おそらく同様に、薬も微妙に配合が異なると効果が変わるのだと思う。

CBDを使っている人たちは、どのCBDによって自分の症状が緩和されるのか、色々と試すそうだ。つまり、CBDだけではなく、大麻に含まれる100種類以上の成分の微妙な組み合わせによって効果が異なるのだろう。そこから、THCだけを綺麗に取り除けと言われても、そうは簡単にはいかないだろう。しかも、THCも微量含まれることで、症状に何らかの影響を与えているかもしれない。

腸内環境を考えるとき、よく善玉菌、悪玉菌と言われるが、膨大にある菌の種類によって環境は変わり、環境の変化で悪玉菌が善玉菌になったり、善玉菌が悪玉菌になったりすることがあるという。THCを完全に取り除いたCBDを使っても、効果がない人もいるかもしれない。

せめて新しい効果的なCBDや薬が見つかるまで、今まで使えたCBDを継続利用できるようにしてほしい。

厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課の人たちに、この訴えが聞き入れられますように。

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