ニュースの齟齬について

ロイターが以下のニュースを伝えた。

キーウ小児病院にミサイル、全土で41人死亡 ロシアが大規模攻撃

一方でRTでは、以下のように伝えている。

ロシアの国連大使、ウクライナ病院襲撃疑惑に反応

RTの英文を翻訳すると以下のとおり。

もしロシアのミサイルが実際にクリニックを攻撃したら、瓦礫しか残らないだろうとヴァシリー・ネベンジャは国連安全保障理事会に語った。

ロシアの国連常駐代表、ワシリー・ネベンジャ氏は、ウクライナ軍が小児病院を防空ミサイルで攻撃したと非難し、ロシアのミサイルが建物に命中していたら「何も残らなかっただろう」と断言した。

火曜日の国連安全保障理事会での演説で、キエフのオフマトディト小児病院の院長、ウラジミール・ゾヴニル博士は、ロシアが月曜日に同病院を故意に攻撃したと非難した。ゾヴニル博士は、爆発で2人が死亡、数十人が負傷したと主張し、この事件は「単なる戦争犯罪ではなく、人道の限界をはるかに超えたものだ」と述べた。

「もしロシアのミサイルだったら、建物は何も残らなかっただろうということをゾヴニル氏は理解しているだろうか」とネベンジャ氏は答えた。「子供も大人も負傷するどころか、死んでいただろう」

ネベンジャ氏は、ロシア軍が月曜日にキエフのアルテモフミサイル工場を標的にし、「この標的は攻撃された」と説明した。

「工場は小児病院から約2km離れているため、ウクライナの防空ミサイルが工場を攻撃したのはロシアのミサイルを狙ったものだと信じるに足る理由がある」と述べ、「ウクライナ軍が住宅地に防空システムを展開していなければ、この悲劇は避けられたはずだ」と付け加えた。

ロシア国防省も病院への攻撃を明確に否定している。同省は月曜日の公式声明で、「キエフからの写真とビデオ映像は、病院が市内の対空ミサイルシステムから発射されたウクライナの防空ミサイルの落下によって攻撃されたことを明らかに裏付けている」と述べた。

アルテモフ工場への攻撃は、月曜日に行われたウクライナの軍事産業施設と航空基地への大規模攻撃の一部である。同省は、この攻撃はロシアのエネルギーと経済インフラに損害を与えようとするウクライナの継続的な試みへの報復として命じられたと述べた。

キエフ寄りのメディアは、病院を襲った兵器はロシアの空中発射型Kh-101巡航ミサイルだと主張している。しかし、目撃者が遠くから撮影したビデオに映っていると思われるこの弾丸は、NASAMミサイルシステムから発射されたAIM120か、MIM-104パトリオットミサイルシステムから発射されたPAC-3迎撃ミサイルである可能性が高いと主張する者もいる。西側諸国の援助国は、ウクライナにこの2つの兵器システムの両方を提供している。

ウクライナの防空ミサイルは、ロシアとの紛争中、何度も故障している。2022年11月、ウクライナのS-300対空ミサイルがコースを外れてポーランド領土に着弾し、農民2人が死亡した。ポーランドの調査でミサイルがウクライナ軍によって発射されたことが確認されたにもかかわらず、ウクライナの指導者ウラジミール・ゼレンスキーと当局は数週間にわたり、ロシア軍によって発射されたと主張していた。

RTのオリジナルテキスト

以前からキーウ(キエフ)が攻撃されたというニュースが何回か入ってきていたが、そのたびに疑問を感じていた。なぜなら、ロシアは「ロシア語を話す住民が多かった地域だけ保護のためにウクライナから取り返すが、それ以上には侵攻しない」という声明を守っているように感じられたからだ。

この事実を何故か西側のメディアはあまり伝えない。

実際に何が起きているのかは、見てきたわけではないので「よくわからない」というのが本当だ。もしかしたら実際にロシアがキエフを攻撃していて、ロシアの政府がそれを把握してないのかも知れない。もしかしたらウクライナが、西側諸国からの援助を大きくするために演じているのかも知れない。その他、色々と考えれば考えるほど、いろんな説が浮かんでくる。でも、それらは説でしかない。僕たちが正確に知ることができるのは、ロシアが発行しているメディアが伝えていることはこう、西側諸国が伝えているのはこう、ということだけ。だからこそ、現地に実際に行っているフリージャーナリストの価値が生まれる。

わざわざ書くまでもないとは思うが、ロシア側と西欧諸国のメディアが伝えていることが違うということを認識するのは、大切なことだ。ロシアの情報を信じている人と、西側の情報を信じている人では、見るものが違う。その違いを知ってはじめて、正しい判断が生まれることがある。

ロシアの人に会ったら、または、ネット上で会話するなら、その違いを踏まえて話をする必要がある。

_________7/10追記

これを上げた日の夕方、以下のニュースが流された。駐日ロシア大使が、ロシアで言われていてることと日本で言われていることの違いについてインタビューに答えている。

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